朝食をとるときに、約半数の人がコーヒーを飲むといわれています。駅に珈琲店が入っているところもあり、仕事の前や移動のときにコーヒーを飲む人もいるでしょう。
私も毎朝起きるとすぐにコーヒーを飲みます。コーヒーを飲まないと頭が寝たままになっている気がしてしまうからです。
このとき目覚めに効果的な成分が、コーヒーに含まれる「カフェイン」であることはほとんどの人が知っていると思います。二日酔いの日の朝に、頭を起こすためにコーヒーを飲む人もいるでしょう。
しかし、カフェインには眠気の改善以外にも様々な効果があります。そして、たくさんある効果の1つに二日酔いの改善効果があることを知っているでしょうか。
また、コーヒーにはカフェイン以外にも体にとっていい働きをしてくれる物質が含まれています。ここではコーヒーが二日酔いにどのような効果を示すのかについて説明していきます。
もくじ
コーヒーに含まれるカフェインの二日酔いに対する効果
コーヒーに含まれる成分で最も有名なものはカフェインだと思います。カフェインが二日酔いに効くメカニズムは複数知られています。具体的には以下の3点です。
- 頭痛の改善
- 二日酔いの原因物質の排泄を促進
- 覚醒作用
これらについて詳しく解説していきます。
頭痛の改善
二日酔いの代表的な症状の1つに頭痛があります。朝起きたときのズキズキする痛みはなんともいえません。
この症状の原因は、アルコールが分解してできるアセトアルデヒドによるものです。アセトアルデヒドは二日酔いの原因物質です。
アセトアルデヒドには血管を広げる作用があります。血管が広がると、血管の周囲にある神経が圧迫されてしまいます。その結果、神経が刺激されて痛みを感じるようになるのです。
一方で、カフェインには血管を収縮させる作用があります。カフェインにより血管が収縮すると、神経の圧迫が軽減されて頭痛が解消されます。
また、カフェインは風邪薬、緑茶、紅茶などにも含まれている成分です。下に風邪薬の成分表の写真を載せています。カフェインが頭痛の軽減目的で含まれていることがわかると思います。
このようにコーヒーに含まれるカフェインは頭痛の改善に有効な成分です。
二日酔いの原因物質の排泄を促進
二日酔いのときには、原因物質のアセトアルデヒドが体内に蓄積しています。したがって、二日酔いの症状を改善するためにはアセトアルデヒドを体内から除去する必要があります。
体の中から物質を除去する方法には分解(肝臓が関わる)と排泄(腎臓が関わる)があります。アセトアルデヒドは分解と排泄の両方によって体内から除去されています。
排泄は物質がそのまま尿中に排泄される経路です。そして、カフェインには尿量を増やして、アセトアルデヒドの排泄を促進する効果があります。この効果を利尿作用といいます。
コーヒーを飲むとトイレに行く回数が増える人は多いでしょう。これはコーヒーに含まれるカフェインに利尿作用があるからです。
このようにコーヒーを飲んで尿量が増えると、アセトアルデヒドの排泄が促進されます。アセトアルデヒドを体内から除去することで、少しでも早く二日酔いの症状の軽減が期待できます。
覚醒作用
二日酔いの日の朝はなんともいえない倦怠感や眠気に襲われます。私も二日酔いで出勤して、デスクワーク中に寝そうになる経験を何度もしたことがあります。
コーヒーに含まれるカフェインが覚醒作用を示すことは知っている人が多いでしょう。ここではカフェインの覚醒作用の詳細について説明します。
体内には眠気、意欲の低下などに関わるアデノシンという物質があります。アデノシンが作用することで、眠気を感じたり、活気がなくなったりします。
そして、コーヒーに含まれるカフェインにはアデノシンが働くのを阻害する作用があります。この作用によって眠気が改善したり、意欲が向上するのです。
私は朝起きたときと、日中の眠気を感じたときにコーヒーを飲むようにしています。効き目が現れるまでには30分程度はかかりますが、何とか眠ることなく仕事を乗り切れています。
このようにコーヒーに含まれるカフェインには眠気を改善する効果があります。
コーヒーに含まれるカフェイン以外の成分
また、コーヒーにはカフェイン以外にも二日酔いの症状改善を助ける物質が含まれています。
その1つが、肝臓の機能を改善してくれる成分の「クロロゲン酸」です。
クロロゲン酸には肝臓の機能を改善する作用が知られています。大学の研究によっても、コーヒーを日頃から飲んでいる人は、ほとんど飲まない人と比べて肝機能がよい傾向が見られます。
引用:九州大学福岡コホート研究・基礎調査2004-2007年、Scand.J.Chin.Lab.Inv. 2010,70,171
なお、これらのデータは毎日コーヒーを飲む人のものです。コーヒーを1囘飲むだけで肝臓の機能が劇的に改善するわけではありません。肝臓のためにコーヒーを飲むのであれば日頃から飲んでいる必要があります。
続いて、クロロゲン酸がどのように肝機能の改善に関わるかについて解説します。
アルコールは肝臓で分解されますが、分解するアルコールの量が増えると肝臓に負担がかかりすぎてしまいます。その結果、体にとって有害な「活性酸素」と呼ばれる物質が増加してきます。活性酸素が溜まってくると肝機能の悪化に繋がります。
クロロゲン酸には活性酸素の働きを阻害する作用があります。この作用は「抗酸化作用」と呼ばれます。クロロゲン酸の抗酸化作用によって、肝臓へのダメージの蓄積を減らすことができます。
コーヒーを飲むことで肝機能を維持でき、肝臓の働きを正常に保つことができます。その結果、アルコールだけでなく体にとって異物が体内に入ったときにしっかりと分解をしてくれるのです。
このようにコーヒーには肝臓の機能を改善してくれるクロロゲン酸が含まれています。
二日酔いでコーヒーを飲むときの注意点
ここまでコーヒーを飲むことが二日酔いの症状改善に有効であることについて説明してきました。ただ、二日酔いでコーヒーを飲むときには注意しなければならないことがあります。具体的には以下の5点が挙げられます。
- 飲む量
- 牛乳や砂糖を入れる
- コーヒーの温度
- 脱水症状に注意
- 起きた後に飲む
続いてこれらについて詳しく解説して行きます。
飲む量
私はコーヒーを常にブラックで飲みます。理由は甘いものが苦手だからです。微糖のコーヒーでも甘すぎて気持ち悪くなってしまいます。しかし、二日酔いのときのブラックコーヒーは胃への負担が大きすぎて、飲む量は少なくなります。
また、私は徹夜明けでコーヒーを何杯か飲んだ後に、気持ち悪くなって嘔吐してしまった経験があります。
このように胃が弱っているときにコーヒーを飲むと吐き気を誘発してしまいます。これはカフェイン自体が刺激物だからです。
二日酔いのときは胃がダメージを負っており、少量のものを摂取しただけで吐き気が生じてしまう状況です。したがって、二日酔いのときにコーヒーを飲む場合は、通常よりも少なめにしておいた方が良いでしょう。
牛乳や砂糖を入れる
先に述べた通り、コーヒーに含まれるカフェインは刺激物なので、ブラックで飲むと胃に負担がかかってしまいます。そこで、胃への負担を少しでも減らすために効果的なのが、コーヒーにミルクや砂糖を入れることです。
コーヒーには苦味があり、二日酔いのときにはこの苦味は吐き気に繋がることもあります。そこでミルクを入れてコーヒー牛乳にすることで、味がマイルドになり苦味が軽減されます。このとき、味が甘くなるわけではないので、私のように甘いものが苦手な人でも飲みやすくなります。
また、砂糖を入れると味が甘くなります。日頃から砂糖を入れてコーヒーを飲む人は二日酔いのときも砂糖を使用するといいです。
砂糖を入れるメリットはもう1つあります。それは糖分を摂れることです。二日酔いの日の朝は吐き気で食事が食べられないこともあります。そのようなときには砂糖から糖分が摂取できるので、エネルギー源の補給もできるのです。
コーヒーの温度
コーヒーにはアイスとホットがあります。どちらの方が二日酔いの改善効果があるでしょうか。
正解はホットコーヒーの方が若干効果があります。なぜなら、ホットコーヒーの方がカフェインの吸収がやや早く、効果が早く現れやすいからです。また、ホットコーヒーで体が温まると代謝が上がるので、アルコールやアセトアルデヒドの分解が促進されます。
しかし、二日酔いで気持ち悪いときにホットコーヒーを飲むのは大変だと思います。口を近づけただけで吐き気に襲われる可能性もあります。
ちなみに、私はアイスコーヒーしか飲みません。真冬でもアイスコーヒーです。理由は準備が楽なのと、暑がりだからです。
私は缶コーヒーをインターネットで箱買いして、常に何本か冷蔵庫で冷やしています。こうしておけば朝起きて冷蔵庫から出すだけでいいので、わざわざお湯を沸かす必要もありません。
あと、私は暑がりなので、ホットコーヒーを飲むと全身から汗が吹き出してしまいます。特に食後は代謝が上がっているので大変です。
このように私はアイスコーヒーしか飲みませんが、眠気は覚めますし、二日酔いの改善効果は十分にあります。個人的には飲みやすいものを飲むのが一番いいと考えています。
脱水症状に注意
お酒に含まれるアルコールには利尿作用があります。居酒屋でお酒を飲むと頻繁にトイレに行くようになると思いますが、これはアルコールを飲むと尿量が増えるからです。その結果、お酒を飲んだ翌日は体が脱水状態になっています。
そして、コーヒーにも利尿作用があり、アセトアルデヒドの排泄を促進することを説明しました。
このように朝起きて脱水状態のときにコーヒーを飲むと、利尿作用により脱水が悪化する可能性があります。したがって、二日酔いの改善目的でコーヒーを飲む場合は、スポーツドリンクなどを併用する方がよいです。
私も二日酔いのとき、コーヒーはいつもの半分以下にして、それとは別にスポーツドリンクやお茶などの飲み物を多めに飲むようにしています。コーヒーを飲んで水分が摂取できているとは考えてはいけません。
朝起きた後に飲む
コーヒーに含まれるカフェインには前述の通り覚醒作用があります。そして、100mg以上のカフェイン(メーカーにより異なるが、缶コーヒー約150mL以上相当)を摂取すると、睡眠時間を短縮することが報告されています。(引用:Neuropsychopharmacol. 1995,12,229)
私は夕方コーヒーを飲んだ影響で、夜寝るのに時間がかかった経験があります。普段は布団に入って1分もあれば寝れますが、このときは1時間以上もかかりました。そしてやっと寝れても30分くらいしか寝続けれず、精神的に参ってしまいました。この経験を踏まえて、今では夕方16時を過ぎるとコーヒーは飲まないようにしています。
カフェインの効き方にはかなりの個人差があります。私の友人には寝る前にコーヒーを飲む人もいます。本人は「普通に寝れる」と言っているので、睡眠時間の短縮はすべての人に現れるわけではないようです。しかし、少なからず影響を受けていると考えた方がよいでしょう。
体をしっかり休めるためにも、寝る前にコーヒーを飲むのは避けて、朝起きてから飲むようにしましょう。
まとめ
ここではコーヒーが二日酔いの症状改善に効果的であることを説明してきました。
コーヒーに含まれるカフェインには頭痛の改善効果、アセトアルデヒドの排泄促進作用、覚醒を促す作用があります。
また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸には肝臓の機能を改善する効果も認められています。
二日酔いのときは胃が荒れていることが多いので、コーヒーをそのまま飲むと負担が大きいです。量を減らしたり、ミルクを入れたりするなどの工夫を凝らして飲むようにしましょう。