二日酔いの時は吐き気や頭痛で苦しいです。多くの人は二日酔いの時に積極的に運動をしようという気持ちにならないでしょう。

私は学生時代にテニスサークルに所属していました。飲み会も多いサークルでしたし、若気の至りで一気飲みをしすぎて、気づいたら朝だったということも珍しくありませんでした。

そのような時は、当然のように朝は二日酔いに襲われ、起きても全く動く気になりません。しかし、先輩から「汗をかいたら二日酔いが治る」と言われて、吐き気を我慢しながらテニスに行っていました。部活をしている人は同じ経験をしたことがある人もいると思います。

この時に不思議なのが、最初はしんどいですが、運動を続けていると少しずつ二日酔いの症状がよくなっていく気がしてきます。

また、友人がブログに「二日酔いでバスケをしたらしんどかったけど、二日酔いはよくなった」と投稿しているのを見たこともあります。

果たして、運動によって二日酔いは軽減するのでしょうか。明らかに体調が悪い状態で体を動かすことで問題は起きないのでしょうか。

ここでは、二日酔いの解消に運動が効果的か、二日酔いの時に運動をするとどのような問題が起きるかについて説明していきます。

二日酔いの時の運動について

まずは、二日酔いの時に体がどのような状態になっているかについて説明します。

二日酔いの時は前日に摂取したアルコールの影響で、体の中が通常時とは異なる状態になっています。その中でも、特に以下の2点が問題になります。

  • 脱水状態
  • 肝臓が働き続けている

これらについて詳しく説明していきます。

・脱水状態

お酒を飲むとトイレに行く回数が増える人は多いのではないでしょうか。居酒屋のトイレの前に順番待ちで何人か並んでいるのを見たことがある人もいると思います。

これはアルコールに尿の量を増やす利尿作用があるためです。お酒を飲むと、お酒で摂取した水分量以上に尿が出ることもあります。

アルコールにはこのような利尿作用があるので、お酒を飲んだ翌日は脱水になりやすいです。

このようにアルコールを飲むと、利尿作用によって脱水状態となっています

・血液の流れが肝臓に集中している

体の組織が働くためには栄養分が必要です。その栄養分を組織に届けてくれるのが血液です。血液の供給が少なくなってしまうと、組織が働くことができなくなってしまいます。

例えば、脳梗塞は血液の塊が脳の血管内で詰まってしまう病気です。血管が詰まってしまうと、詰まった場所の先にある組織には血液が供給されません。そうなるとその組織は働かなくなってしまい、機能を失ってしまいます。

このように組織が活動するためには血液は重要な役割を果たします

先ほど説明したように、アルコールやアセトアルデヒドは肝臓で分解されます。お酒を飲むと、アルコールやアセトアルデヒドを分解するために、肝臓には血液がどんどん流れています。

二日酔いの時はこれらの物質を分解し続けているので、肝臓への血液の流れは多くなっている状態です

二日酔いで運動をすることは危険

このように、二日酔いの時は体の水分が減っており、肝臓はアルコールとアセトアルデヒドの分解のためにフル稼働しています。

二日酔いの時に積極的に運動をしたい人はほとんどいないでしょう。しかし、ゴルフのように、すでに行く約束をしている場合は体調が悪くても行かざるを得ないような場面もあると思います。

続いて、そのような二日酔いの時に運動をするとどのような影響があるかについて説明します。

・脱水が悪化する

ランニング、水泳、ロードバイクなどの有酸素運動を始めると、しばらくすると汗をかいてきます。プールでの運動では気づきにくいですが、大量の汗をかいています。

また、運動中は気にならなくても、運動を終えて体を動かすのを止めると汗が吹き出してくることもあります。

実際に運動でどのくらいの汗をかくのかを以下の図で示します。

引用:大塚製薬ホームページ スポーツ活動中にどれくらいの水分を失うか?

汗をかく量には個人差があります。全ての人が同じように汗をかくわけではありませんが、運動をする時にはかなりの汗をかいていることがわかると思います

このように運動をすると汗をかいて、水分が失われます。実はこの水分が失われることが、二日酔いの回復を遅くしてしまいます。場合によっては、二日酔いの吐き気や頭痛がひどくなることもあります。

このように、運動によって汗をかくことで、脱水がひどくなり、二日酔いの症状が悪化してしまうことがあります

・全身の血流がよくなって、肝臓への血流が悪くなる

運動を始めると筋肉が少しずつ動き始めます。そうすると、全身の筋肉が活動するために血液が必要となり、徐々に全身の血流が良くなっていきます。

そうなると、それまでは肝臓に集中していた血液の流れが、全身に分散されるようになります。その結果、肝臓でのアルコールやアセトアルデヒドの分解の効率が悪くなってしまいます

このように、肝臓への血液の流れが減ってしまうことで、二日酔いの症状の改善が遅くなってしまうのです。

・集中力が低下しているので、怪我をしやすい

二日酔いの時は集中力が低下することが知られています。実際に二日酔いの状態で仕事をして、普段ではしないようなミスをしてしまったことがある人もいると思います。

そのような状態で運動をすると、足をひねったり、つまずいて転んでしまったりする可能性が高いです。

私は二日酔いでテニスをしたことが何度もありますが、まずは気持ち悪すぎて、正直テニスにあまり集中できません。そして、怪我はしたことがないですが、つまずいたり、足がもつれることは何度もありました。

このように、二日酔いの時は通常の時と比べて集中力が低下しています。そのような時に運動をすると怪我をする危険性が高いので、運動は控える方がよいです

ピラティスやヨガなどのスタジオプログラムは大丈夫か?

二日酔いで運動をすることが危険であることについて説明してきました。では、スポーツジムで行うピラティスやヨガのように、息が上がらないようなものは行ってもよいでしょうか。

私の知人でジムでトレーナーをしている人がいます。その方に聞くと「ピラティスやヨガは激しい運動ではないですが、汗をかきます。そうなると脱水が悪化する可能性があるので、基本的には行わないほうがいいです。もちろん、二日酔いの時にピラティスやヨガを行って、症状が改善するわけではありません」と話していました。

例えば、ホットヨガは35〜39℃の部屋で行うので、何もしなくても汗をかきます。そのような中、体を捻ったり、手足を動かしたりすると、全身の血液循環がよくなることでさらに汗をかきます。

私は何度かピラティスをやったことがあります。もちろん二日酔いの時ではなく元気な時です。

その時は、息が上がることはなかったですが、そもそも二日酔いの時にあのポーズや動きをすることは私には無理だと思います。

このように、スポーツジムで行うヨガやピラティスも、二日酔いを悪化させる可能性があるので控えた方がよいでしょう

なぜ二日酔いで運動をすると症状がよくなる気がするのか

ここまで、二日酔いの時に運動をすることが危険であることについて説明してきました。では、運動をした時に症状が少し改善したような気持ちになるのはなぜでしょうか。

あなたは日頃から運動をしているでしょうか。体を動かすことが心の底から嫌いな人は別ですが、運動をすると爽快な気持ちになります。

私は趣味でマラソンをしています。週に3〜4日は近所を30分〜1時間程度ジョギングします。

これだけ走るのが好きな私でも、走り始めは「めんどくさいなあ」という気持ちがあります。なので、この時点では爽快な気持ちはほぼありません。

しかし、走り始めて20分くらいすると少しずつ気持ちよくなってきます。俗にいう「ランナーズハイ」と呼ばれる現象です。私の場合は一度ランナーズハイになると、どんどん走るペースを上げたくなりますし、少し足が痛くても走り続けてしまいます。

そして、この気持ちよくなる現象は、脳内の幸せを感じる物質のエンドルフィンが分泌されることによります。

エンドルフィンは別名「脳内麻薬」とも呼ばれており、気分を高揚させる作用だけでなく、痛みを抑える作用もあります

二日酔いの時も運動を始めてしばらくするとエンドルフィンが分泌されてきます。そうすると気持ち悪さや頭の痛さが改善したような気持ちになってきます。

しかし、エンドルフィンには二日酔いの原因であるアセトアルデヒドの分解や、脱水を改善する効果はありません。

エンドルフィンによって一時的に二日酔いの症状が軽減したような気持ちになりますが、実際は脱水の悪化や、肝臓への血液量の減少によって、二日酔いは悪化している可能性があります

ジムのトレーナーに聞くと「二日酔いの時は脱水が悪化するので運動は控えるように指導しています。また、レッスンに入る時も二日酔いの方はご遠慮いただいています。運動をするとしても、無理のない範囲で軽く行う程度であれば自己責任で行ってもよいと思います」と話していました。

このように、基本的には二日酔いの時は運動を控えて、体が元気な時にしっかりと運動をするのがよいでしょう

まとめ

ここでは、二日酔いの時の運動が症状の改善に有効かどうかについて解説しました。

二日酔いの時に運動をすると、脱水が悪化してしまいます。その結果、二日酔いの改善に時間がかかるようになったり、さらに症状が悪化してしまったりすることもあります。

また、運動をすることで全身の血流がよくなります。その結果、肝臓への血流が減ってしまい、アルコールなどの分解が遅くなってしまいます。

運動に限らず、二日酔いの時は汗をかくような動きは基本的には避けた方がよいでしょう。

運動で二日酔いの症状が軽減する気がするのは、高揚感を感じさせるエンドルフィンの効果です。決して二日酔い自体がよくなっている訳ではありません。二日酔いの時は、まず水分補給をしっかりする必要があります。そして、二日酔いの症状が回復してくれば、軽い運動から始めるようにしましょう。

そして、二日酔いにならないような生活習慣、具体的には日々の運動、食事の内容の工夫やサプリメントを摂取して、二日酔いになりにくい体を維持するようにしましょう。