お酒を飲むと顔が赤くなる人は多いです。遅い時間の電車に乗ると、顔色だけで酔っ払っているのがわかる人を多く見かけます。

その一方で、いくら飲んでも顔色が変わらない人もいます。このような人は、見た目ではお酒を飲んでいるかどうかもわかりません。

では、なぜお酒を飲んで顔色が変わる人と変わらない人がいるのでしょうか。その違いは何なのでしょうか。また、顔色が変わることで問題になるようなことはあるのでしょうか。

ここでは、お酒を飲むことで、顔色にどのような影響が現れるか、解決方法はあるのかについて説明していきます。

なお、飲酒中であっても、二日酔いのときでも、顔が赤くなる原因は同じです。ここでは、特に顔が赤くなりやすい飲酒中に焦点を当てて説明していきます。

お酒を飲んで、顔が赤くなる理由

私の知り合いの女性の中には、お酒を飲むと顔が赤くなるから飲まないという人もいます。

そして、私はお酒を飲むといつも真っ赤になるので、特に初めて一緒にお酒を飲む人には「大丈夫?」と心配されます。

鏡で自分の顔を見ると残念な気持ちになるので、「お酒を飲んでも顔色が変わらない人はうらやましいなあ」といつも思います。

また、かなり遅い時間までお酒を飲んだ翌日は、朝起きてもまだ顔が赤いこともあります。

まずは、なぜお酒を飲むと顔が赤くなるのかについて説明します。

顔が赤くなるのはアセトアルデヒドの影響

お酒の主成分はアルコールです。このアルコールは体にとって異物なので、体に吸収されたあとに分解されます。ここで分解されて作られるのが、二日酔いの原因物質の1つであるアセトアルデヒドです。

アセトアルデヒドが体の中に溜まると、吐き気、頭痛などの二日酔いの症状が現れます。

そして、このアセトアルデヒドには血管を広げる作用があります。アセトアルデヒドによって血管が広がることで、顔が赤く見えるようになるのです

なぜ顔が赤くなる人と赤くならない人がいるのか

お酒を飲んで顔が赤くなるかどうかは、アセトアルデヒドが溜まるかどうかで決まります。それを決めているのは、体にアセトアルデヒドを分解する力がどのくらいあるかです。

そして、このアセトアルデヒドを分解する力は、基本的には遺伝子によってほぼ決められています。続いて、遺伝子によってアセトアルデヒドの分解力がどのように分類されるかについて説明します。

なお、ここではわかりやすさを優先するために、多少事実とは異なる点があることをご了承ください。

アセトアルデヒドはアセトアルデヒド脱水素酵素(以下ALDHと呼ぶ)と呼ばれる酵素によって分解されます。

アセトアルデヒドはALDHによって、体にとって無害な酢酸に変換されます。つまり、ALDHがアセトアルデヒドをいかに速く酢酸に変換するかによって、アセトアルデヒドが溜まりやすいかが決まります。

そして、ALDHにはアセトアルデヒドの分解する力が強いN型と、分解する力が弱いM型があります。

顔が全く赤くならない人の遺伝子のタイプは「NN型」と呼ばれます。この遺伝子型の人は、アセトアルデヒドを分解する力が強いN型を2つ持っているので、ALDHがしっかりと働いてくれます。その結果、アセトアルデヒドが体内に溜まりにくいです。

一方で、顔が赤くなる人の遺伝子型は「MN型」です。このタイプの人は、N型とアセトアルデヒドの分解する力が弱いM型の両方をもっています。そのため、NN型の人と比べるとアセトアルデヒドの分解能力が低いです。

個人差がかなりありますが、MN型の人はNN型の人の1/16のアセトアルデヒド分解能力しかないと言われています。

最後に、ちょっとお酒を飲んだだけで顔が真っ赤になる人の遺伝子型は「MM型」です。このタイプの人は、N型がないので、アセトアルデヒドの分解をスムーズに行うことができません。そのため、少量のお酒を飲んだだけでも顔が真っ赤になり、気持ち悪くなります。

このように、アセトアルデヒドの分解能力は大きく3パターンに分けられます

遺伝子型 アセトアルデヒドの分解能力 顔色の変わりやすさ
NN型 変わらない
MN型 少し飲むと赤くなる
MM型 ちょっと飲むだけで赤くなる

なお、私はMN型です。学生時代の実習で、自分の遺伝子型を調べる実験がありました。お酒を飲むと顔が赤くなるのは十分わかっていたので、予想通りの結果でした。

私は大学のときの実習でこのような実験をしたので、たまたま自分の遺伝子型がわかっています。しかし、一般の人で自分の遺伝子型を知っている人はほとんどいないと思います。

顔が赤くなりやすいかを検査する方法

さきほど紹介した遺伝子の検査は、病院で受けることができます。

実際に以下のように、健康診断の項目に追加することで、遺伝子検査を受けることができます。

とはいうものの、実際わざわざ追加でお金を払って検査を受けるかと言われると、なかなか受けないでしょう。そこで、自宅でも簡単にできる検査方法を紹介します。

この検査は「アルコールパッチテスト」と呼ばれます。遺伝子を検査するわけではありませんが、アセトアルデヒドが溜まりやすいかがわかります。

準備するものは消毒用エタノール(約70%のエタノール)と絆創膏とスポイトです。いずれも下のように、ドラッグストアで売られているので、簡単に入手することができます。

まず、消毒用エタノールを2~3滴、絆創膏につけます。

その絆創膏を腕の内側などの皮膚が柔らかい部分に貼ります。

そして、貼ってから7分後と17分後に絆創膏を剥がして、皮膚の色の変化を確認します。下の写真は、実際に私がテストしたときのものです。

このとき、「7分後に皮膚の色が赤色に変化しているとアセトアルデヒドの分解が遅い」「17分後に皮膚の色が赤色に変化しているとアセトアルデヒドの分解は普通」という判定になります。具体的には、以下のような分類になります。

7分後の色 17分後の色 アセトアルデヒドの分解速度
赤い 赤い 遅い
赤くない 赤い 普通
赤くない 赤くない 速い

実際に私がテストした結果では、7分後に色は変わっておらず、17分後は皮膚が赤くなっています。

7分で色が変わる人は、いわゆる下戸と呼ばれる人で、お酒を飲むことがほとんどできません。17分で色が変わる人はほどほどにお酒が飲めるタイプといえます。

私は遺伝子の検査でもMN型であり、アルコールパッチテストの結果と一致しています。

また、これらの物品を準備するのが面倒であれば、すべてがセットになっているものも販売されています。

引用:ライフケア技研株式会社 製品案内 アルコール体質試験パッチ

これらの検査による結果で、アセトアルデヒドが体に溜まりやすいかを判断することができます。

アセトアルデヒドに対する反応は個人差が大きい

アセトアルデヒドを分解する力は大きく3つのパターンに分けられることを説明しました。ところが、実際にあなたの周りの人を見てみても、お酒を飲んだときの顔色の変わりやすさを3パターンに分けることはできないと思います。

特に、ある程度お酒が飲めるグループ(MN型)は個人差がかなり大きいと感じます。

私のように、缶ビールを1~2本飲んだだけでも、酔って顔が赤くなる人もいます。

その一方で、酔っても顔が赤くならない人もいます。私の友人には、MN型でも缶ビールを6本飲んでも全く顔色が変わらない人もいます。

この違いは、アセトアルデヒドに対する体の感受性の違いによるものと考えられています

つまり、少量のアセトアルデヒドでも血管が広がって顔が赤くなる人と、ある程度のアセトアルデヒドが溜まらないと血管が広がらない人がいるのです。

また、今まではお酒を飲んでも顔色が変わらなかったが、急に顔が赤くなるようになったという話を聞くことがあります。

私も、日によって顔が赤くなる程度は全然違います。缶ビールを1本飲んだだけで真っ赤になる日もあれば、3本飲んでもほぼ顔色が変わらない日もあります。

私の家内も、普段はお酒を飲んでも顔色が全く変わりませんが、一時期少しお酒を飲んだだけで顔が赤くなる時期がありました。

影響しているのは、その日の体調、お酒を飲むペース、おつまみの内容などが考えられます。体調が優れない、お酒を飲むペースが速い、おつまみを食べないなどのときは、顔が赤くなりやすいです。

ある日突然アセトアルデヒドに対する感受性が高くなるとは考えにくいです。もちろん遺伝子型が変わることはありません。

このように、日によって顔が赤くなりやすさに違いがあります。普段よりも赤くなったとしても、心配をするようなものではないと考えてよいでしょう。

お酒を飲んで顔が赤くなったときに治す方法はある?

私はお酒を飲むたびに顔が真っ赤になりますが、普段は困ることはありません。よく一緒にお酒を飲む人には「こいつはお酒を飲むといつも顔が赤くなる」と認識されており、改めて顔色を心配されることはありません。

しかし、一度だけ本気で何とかしないと感じたときがあります。それは自分の結婚式のときです。

私は披露宴のときに、参加してもらった友人にたくさんのお酒を注いでもらい、何も考えずにすべてのお酒を飲んでいました。すると、お色直しのときにはすでに真っ赤になってしまったのです。

そのあともいろいろな場面で写真を撮ってもらうのに、真っ赤な状態で写真に写り続けるのはさすがにまずいと思いました。そこで私が実践したのは、冷えたおしぼりで顔を冷やすことです。

式場のスタッフの人にお願いして、冷えたおしぼりをいくつか持ってきてもらい、お色直しの間、顔面を冷やし続けていました。

その結果、再入場のときにはある程度赤みを消すことができ、まともな写真を撮ってもらうことができました。

顔が赤くなるのは、アセトアルデヒドが血管を広げているためです。したがって、顔色を戻すためには、基本的にはアセトアルデヒドが分解されるのを待つしかありません。

しかし、アセトアルデヒドをすぐに分解するような方法はありません。

私が実践した方法は、皮膚を冷やすと血管が収縮することを利用したものです。人間の血管は、寒いと感じると収縮し、暑いと感じると拡張します。

血管が広がっていると、熱が逃げやすくなります。皮膚を冷やすことで、熱を逃がさないようにするために、血管が収縮するのです。

もちろんこの方法は一時的な効果しかありません。しばらくすると皮膚の表面が温まるので、顔色は赤に戻ります。

なお、お酒で顔が赤くならない方法はありません。私もたまに「今日はあまり顔が赤くならないな」と感じる日もありますが、最終的には真っ赤になっています。

私はお酒を飲む前に、サプリメントや漢方薬などの医薬品も飲んだことがあります。どの方法でも顔が赤くなるのを完全に予防できたことはありません。

顔が赤くなるのを防ぐためには、お酒を飲み過ぎないようにするしかないでしょう。

顔が赤くなることで体への悪影響はあるのか

私もほかの人がお酒を飲んで顔を真っ赤にしていると、「この人大丈夫かな」と感じます。ところが、顔が赤くなること自体が問題になることはありません。

顔が赤くなる原因は、アセトアルデヒドが血管を広げるためです。ひどい二日酔いになっても、翌日の夕方には顔色は戻っていると思います。このように、顔が赤いのは放っておいても元に戻ります。

そして、顔が赤くなるのを繰り返しても、すぐに問題が起きることはありません。実際に私も週に1~2回お酒を飲み、毎回顔が真っ赤になりますが、健康面で問題はなにもありません。

しかし、もっと長期的にみると問題が起きることが考えられています。それは発がん率が上がることです。

発がん率が上がるのは二日酔いの原因のアセトアルデヒドが関わっていると考えられています。

アセトアルデヒドは二日酔いのときの吐き気や頭痛の原因の1つであり、毒性が強い物質です。このアセトアルデヒドが溜まる状態を繰り返すことで、がんになりやすいと言われています。

しかし、お酒を飲んで顔が赤くなるかは、個人差がかなりあることを説明しました。そのため、「顔が赤くなるか」と「がんのなりやすさ」は、いろいろと研究がされていますが、統一の見解は得られていないのが現状です。

実際にお酒を飲んだときの顔色への影響と、発がん率を研究した内容の2例を下に示します。1例目は、男性の膀胱がんのなりやすさについて調査しています。

引用:多目的コホート研究(JPHC Study) 飲酒と膀胱がんリスクについてを一部改変

1週間で151-300gのエタノールを飲むグループでは、顔が赤くなる人の方が顔が赤くならない人に比べて膀胱がんになりやすいことがわかります(図中1))。

しかし、1週間あたりの飲酒量が451g以上のグループでは、逆に顔が赤くならない人の方が膀胱がんになりにくいという結果になっています(図中2))。

2例目は、お酒を飲んで顔が赤くなるかと食道がんの関係を調査したものです。

引用:多目的コホート研究(JPHC Study) 飲酒と食道がんの発生率との関係についてを一部改変

この調査では、顔が赤くなるかどうかで、食道がんへのなりやすさに差はありません。実際にこの研究グループは「お酒で顔が赤くなる体質でもならない体質でも、飲酒による食道がんリスクへの影響は見られませんでした」と結論付けています。

このように、お酒を飲んで顔が赤くなるかどうかで、がんになりやすいかははっきりとはわかっていません。しかし、アセトアルデヒドが体に溜まることはいいことではないのは間違いありません。

顔が赤くなるかならないかに関わらず、アセトアルデヒドが体に蓄積しないようにする必要はあるでしょう。

お酒を飲んで気分が悪くなったときに、顔が白くなるのはなぜ?

お酒を飲んで顔が真っ赤だった人が、しばらくして顔色が悪くなって、顔が白くなっている場面を見たことがないでしょうか。

私はお酒を飲むと、顔が赤くなります。そして調子に乗って飲みすぎると、トイレで嘔吐してしまうことも珍しくありません。

嘔吐したあとに席に戻ると、顔色がある程度戻っていて、「大丈夫? 顔色悪いよ」と心配されることもあります。では、なぜ急に顔色が戻るのでしょうか。

この現象が起きる原因は、はっきりとはわかっていません。考えられる原因の1つとしては、「血圧が下がることによって、血管が収縮すること」が挙げられます。

私の知り合いの医師に話を聞くと、急性アルコール中毒で病院に運ばれてくる人は、血圧が下がっていることが多いそうです。

例えば、お酒を飲んだあとに立ち上がると、立ちくらみが起きることがあります。この立ちくらみは、お酒を飲まないときでも起きますが、頻度はかなり少ないです。一方で、お酒を飲んだときの方が立ちくらみは起きやすいと思います。

立ちくらみは、医学的には「起立性低血圧」と呼ばれ、立ち上がったときの一時的な血圧低下が原因です。

このように、お酒を飲んだあとは血圧が低下しやすくなっているのです。

血圧が下がると、人の体は血圧を上げようとします。そのために、血管が収縮します。

第1章で、アセトアルデヒドには血管を広げる作用があるので、お酒を飲むと顔が赤くなる説明をしました。

逆に顔が白いのは、血圧が下がることで、血管が収縮することが影響していると考えられます。

顔色がお酒を飲む前と同じような色になっているのであれば、酔いが醒めてきているとも考えられます。しかし、元々の顔色よりも白いようであれば、それは体調が悪くなっている可能性があります。

本人が一番自覚していると思いますが、それ以上の飲酒はしないようにするのがよいでしょう。

まとめ

ここでは、お酒を飲むことで、顔色にどのような影響が現れるか、赤くなったときの解消方法はあるのかについて説明しました。

お酒を飲んで顔色が赤くなるのは、アルコールが分解されて作られるアセトアルデヒドが原因です。アセトアルデヒドが血管を広げることで、顔色が赤くなります。

一旦顔色が赤になると、治すのは困難です。皮膚を冷やすことで、一時的には顔色が戻りますが、すぐにまた赤くなってしまいます。

顔が赤くなること自体は問題になることはありません。しかし、一部のがんについては顔が赤くなりやすい人は発がん率が上がる可能性があります。

また、お酒を飲み過ぎたあとに、顔が白くなってしまうことがあります。これは、はっきりとした原因はわかりませんが、血管が収縮していることが関わっている可能性があります。

顔が赤くなるということは、アセトアルデヒドが体の中にできている状態です。そのまま飲み続けると、アセトアルデヒドがさらにできてしまい、二日酔いにつながる可能性があるので、お酒の飲み過ぎには注意する必要があります。