二日酔いで病院に行ったことがある人は少ないのではないでしょうか。私も二日酔いの経験は多い方だと思いますが、二日酔いで病院を受診したことは一度もありません。

急性アルコール中毒の場合は、夜間の救急外来を受診することになるので、その日の救急担当の医師が診察をするようになります。診療科を選ぶことはまずありません。なお、救急担当の医師の専門はまちまちで、内科のこともあれば整形外科や皮膚科のこともあります。

しかし、二日酔いの場合は、日中に受診することになるので、受付で何科を受診するかを選択する必要があります。そもそも病院によっては該当する診療科がなければ、診察さえもしてもらえない可能性があります。

ここでは、二日酔いで病院を受診する時は何科を受診すればよいか、病院ではどのような治療をするのか、二日酔いで病院を受診する時の疑問点について解説していきます。

二日酔いで病院に行くときは何科に行けばよいか

朝起きて二日酔いだった時に、「このしんどさは永遠に続くのではないか」と思ったことは誰もがあると思います。しかし、ほとんどの場合は昼過ぎ、よほどのことがない限りは夕方にはある程度体調は回復します。

このように、二日酔いは基本的には病院に行かなくてもよくなります。

私は最もひどい二日酔いになった時は、丸二日食事が食べれませんでした。その時も病院には行きませんでしたが、最終的には回復しました。二日酔いが治らないことはありません。

二日酔いはどのくらいで治るものか

二日酔いがどのくらいで治るかは、飲んだお酒の量によります。また、個人差がかなりあるので、どのくらいで二日酔いが改善するかは一概には言えません

一般的には、体重70kgの男性が生ビール(アルコール度数5%)を1000mLを飲むと分解に5〜6時間かかると言われています。これはアルコールの分解にかかる時間なので、二日酔いの原因物質のアセトアルデヒドが分解されるまでには更に時間がかかります。

また、二日酔いの原因はアセトアルデヒドだけではありません。お酒に含まれる不純物や脱水なども二日酔いに関わっています。

このように二日酔いは色々な要因が関わって起きているので、回復にかかる時間は正確に予測するのは難しいです

二日酔いの時は内科か消化器内科を受診するのがよい

二日酔いでも何とか食事が食べれそうであれば、病院を受診する必要はないかもしれません。しかし、胃が何も受け付けないような状態になっていれば、早めに病院を受診することをお勧めします。

そして、もし病院を受診する場合は、内科か消化器内科を受診するのがよいでしょう

アルコールとアセトアルデヒドは肝臓で分解されます。二日酔いは肝臓でのこれらの分解が追いついていないために起きます。

肝臓の病気は基本的に内科で診るので、まずは内科か、吐き気が問題になっていれば消化器内科の受診がよいでしょう。

ただ、病院によっては外科でも診察してくれるところもあります。私が働いている病院では、急性アルコール中毒や二日酔いの患者さんを外科の先生が診ることもあります。病院の受付で診療科を確認するか、受診前に電話で問い合わせてみるといいでしょう

二日酔いに似た症状の病気もあるので注意が必要

二日酔いは基本的には時間が経てば症状が回復します。私の場合は夕方には元気になっていることがほとんどです。

しかし、何日か経っても症状が続いたり、逆に悪化するようであれば他の病気にかかっている可能性があります。以下に具体例を示します。

・胃のむかつきや吐き気が続く

胃がムカムカしたり、吐き気を感じるのは二日酔いの典型的な症状です。しかし、吐き気がなかなかよくならない場合は食道、胃、十二指腸が荒れていることが考えられます

これらの症状は一度お酒を飲んだだけでは起きません。日頃の生活習慣が乱れており、元々胃や食道が弱っていることが考えられます。

このような場合は、治療することも大切ですが、生活習慣を見直す必要もあります。具体的には十分な睡眠時間を確保したり、暴飲暴食を避けるなどを行うようにしましょう。

・頭痛やめまいが続く

頭痛やめまいが続く場合は、脳に障害が起きている可能性があります。特に血液の塊が脳で詰まる脳梗塞が起きていると、最悪の場合寝たきりになる可能性もあります。

あとで詳しく説明しますが、お酒を飲んだ後は体は脱水状態になっています。血液がドロドロになっているので、このような時は血の塊ができやすい状態になっていると言えます。

・精神症状

倦怠感やめまいが続く場合は、うつ病の可能性があります。

うつ病にかかったことがない人には理解しにくいかもしれませんが、うつ病になると様々な症状が現れます。

夜眠れなくなったり、体が怠かったりするのは何となく想像ができると思いますが、他にも頭痛がしたり、吐き気がしたり、便秘になったります。

私も原因はアルコールではありませんが、かつて一度だけうつ状態になったことがあります。その時は全く寝れなかったのと、動悸・息苦しさに襲われました。

お酒を飲みすぎることで「何であんなに飲んでしまったんだろう」と考えてしまい、うつ状態になることがあります。

また、不安を抱えていたり、気分が落ち込んでいるときにお酒を飲んでいる人もいると思います。お酒を飲むと一時的にリラックスすることができるので、飲んでいる間は気持ちがいいです。しかし、アルコールが体内からなくなってしまうとまた気分が落ち込んでしまいます。これを繰り返すことでうつ状態になってしまうことがあります。

このように、アルコールの飲みすぎが原因でうつになったり、うつ状態が悪化することがあります

二日酔いで病院に行くとどのような治療をするのか

二日酔いの時には吐き気がしたり、頭が痛かったりと、体に色々な問題が起きています。二日酔いで病院に行った時にはどのようは治療をするのでしょうか。

そこでまずは、二日酔いの時の体の状態について解説します。

二日酔いの症状

・脱水

お酒を飲むと普段と比べてトイレに行く回数がかなり増えると思います。居酒屋で飲んでいると、トイレの前で順番待ちをしている人を見ることがあります。

アルコールには脳に働きかけて、尿の量を増やす作用があります。この作用のことを「利尿作用」と呼びます。この利尿作用の影響で、トイレに行く回数が増えているのです。その結果、お酒を飲んだ後は体が脱水状態になっています

・低血糖

アルコールは肝臓で分解されますが、肝臓はアルコールの分解以外にもたくさんの仕事をしています。その中の一つに糖分の生成があります。

肝臓には血糖値が下がると糖分を作り出し、血糖値を上げる作用があります

しかし、アルコールの摂取量が増えると肝臓はアルコールの分解に力を注ぐようになり、血糖値を上げる作業が疎かになってしまいます。その結果、低血糖が生じてしまうのです。

低血糖は日常生活で起きることはまずありませんが、激しいスポーツをしているときに生じることがあります。マラソンや駅伝のランナーがフラフラになっている映像を見たことがあると思います。あの状態は糖分が消費されすぎて低血糖が起きているのです。

・肝機能障害

毎日お酒を飲んでいる人の中には、健康診断のたびに肝機能の値が問題になる人がいます。そのため、健康診断の1〜2週間前から禁酒をする人もいるのではないでしょうか。

アルコールを飲むと体の中に吸収され、肝臓で分解されます。分解するアルコールの量が増えてくると、肝臓の細胞に疲労が蓄積し、最終的には壊れてしまいます。

これを繰り返すことで、肝臓の機能が次第に悪化し、最終的には肝硬変や肝臓ガンになることがあります

二日酔いは肝臓のアルコール処理能力を超えている状態です。また、長期間お酒を飲み続けている人は、慢性的に肝臓にダメージが蓄積しています。

・胃腸障害

食べ物を飲み込むと、食道を通過して、胃に入ります。お酒を飲みすぎて嘔吐をしてしまうと、胃液によって食道が傷つくことがあります。

胃の中には胃酸という食べ物を消化するための液体が分泌されています。胃酸は食べ物をドロドロにしてしまうほどの力があります。したがって、この胃酸が食道に入ってしまうと食道の壁を傷つけてしまいます

また、アルコールには刺激性があります。胃を刺激することで胃に負担がかかるようになってしまいます。

このように、二日酔いの時は胃酸による影響で食道や胃があれていることが多いです

二日酔いの治療法

二日酔いで病院を受診したときには上記の症状が起きています。したがって、病院で行うのはこれらの症状に対する治療になります。

続いて、二日酔いの症状に対して具体的にどのような治療をするのかについて解説して行きます。

・水分補給

二日酔いの時は体が脱水状態になっています。脱水を改善するためには点滴を行う必要があります。

点滴の中身はほとんどが水で、その中に汗の成分の塩分や糖分が含まれているものもあります。イメージとしては、スポーツドリンクを注射していると思ってもらって大丈夫です。実際に下に示すように、含まれている成分は点滴とスポーツドリンクでほほぼ同じです。

病院で点滴治療を受けることで、ある程度症状はよくなることが多いです。私が知っている入院患者さんも、点滴前までは全く動ける状態ではなかった人が、点滴後には普通に歩いていました。

二日酔いで病院を受診するような状態であれば、口から水分を摂取できるような状態ではないでしょう。そこで、点滴により直接血管の中に水分を入れるのです。

・糖分の補給

二日酔いの時は極度の脱水と糖分不足になっています。水分と糖分が全く摂取できない状態であれば、二日酔いの症状の改善は遅くなります。逆に、これらをしっかりと摂取することができれば回復は早いです。

病院に受診するような状態であれば、口から糖分を摂取できる状態ではないことが多いです。そのような時は、点滴の中に糖分(ブドウ糖)を入れたり、最初からブドウ糖が含まれているブドウ糖点滴を実施したりします

私の場合は、気持ち悪くて朝ごはんが食べれる状態ではないときでも、何とか食べれそうであれば無理をしてでも食べるようにしています。その理由が水分と糖分の摂取です。

何も食べない時と比べてご飯を食べた時は食後数時間すると確実に体が元気になっていくのを感じます。これは体内に水分と糖分が補給されているためです。

・肝機能改善薬

二日酔いの時は肝臓の能力を超えてアルコールやアセトアルデヒドの分解をしているので、肝臓が疲弊しています。そこで、肝臓の機能を改善する薬を使用することで、肝臓のダメージを回復してくれます

肝臓の機能が低下すると、倦怠感などの症状が現れることがあります。肝機能を回復させて、少しでも早く二日酔いの症状をよくするために肝機能改善薬は使用されます。

・胃腸薬

二日酔いの時は吐き気に襲われていることが多いです。嘔吐をしている場合は、胃が荒れていたり、食道が炎症を起こしたりします。

胃や食道の炎症を改善するために医療の現場で利用されるのは、胃酸の量を減らす薬や胃の粘膜を強くする薬です。

これらの治療薬が二日酔いに対して使用されることもありますが、残念ながら効果が現れるまでには時間がかかります。そのため、薬の効果が現れる頃には二日酔いの症状が自然と軽減している可能性も高いです。

また、二日酔いの時に処方される薬に漢方薬の「五苓散」があります。この五苓散は患者さんによっては胃腸障害、下痢、頭痛に効果があるそうです。そのため、医師によっては二日酔いに対して積極的に処方しています。

・にんにく注射(ビタミンB1)

インターネットで「二日酔い 回復 注射」などで調べると、「にんにく注射」という言葉がいくつも引っ掛かってきます。にんにく注射は二日酔いの予防や症状の改善に使用されます。

にんにく注射に含まれているのはビタミンB1という成分です。このビタミンB1はアルコールやアセトアルデヒドを分解するために必要な成分です。注射自体ににんにくの臭いがするのでにんにく注射と呼ばれています。

なお、ビタミンB1は病院に行って注射をしなくても、サプリメントでも補充することができます。二日酔いの時だけでなく、日頃から摂取することで二日酔いになりにくい状態を維持することができます。

このように、ビタミンB1を日常的に摂取することで二日酔いを予防することができます。

二日酔いは保険診療で受けることが可能か

皆さんは健康保険に加入しているでしょうか。日本には国民皆保険制度があるので、ほとんどの人は国民健康保険や社会保険に加入していると思います。

私の場合は病院で勤務しているので、社会保険に加入しており、3割負担で保険診療が受けられます。

このように、健康保険に入っていると実際にかかった治療費の一部だけ払えばよいです。。

その一方で、保険診療の対象にならない治療があり、こちらは自由診療と呼ばれます。具体的には植毛、顔や体の整形手術は自由診療に含まれます。

まずは、保険診療と自由診療について詳しく解説します。

・保険診療と自由診療

病院にかかると、保険診療か自由診療のどちらかを受けるようになります。

保険診療であれば病気に対してどのような治療をするのかがあらかじめ厚生労働省から決められています。その方法に従って治療を受けると、患者さんは実際にかかった治療費の一部(私の場合は3割)を払います。そのため、保険診療ではどこの病院で治療を受けても、治療内容が同じであれば治療費は同じです

その一方で自由診療は何でもありです。治療方法も金額も全て病院が決めることができます。したがって、自由診療の場合は同じ治療を受けても病院によって治療費が変わってきます

病院のホームページを見ると「二日酔いに効く注射1500円」などが載っていることがありますが、これは自由診療をしていることを意味します。

実際、病院のホームページを見比べてみても金額はまちまちです。私が調べても以下のように金額は全然違いました。

このような注射の治療を受けるのであれば自由診療の扱いになります。したがって、健康保険を使うことはできません。

・二日酔いで保険診療を受けることができる

先ほどは、二日酔いに対する注射は自由診療となることを説明しました。それでは二日酔いでは保険診療は受けられないのでしょうか。

実は、病院によって二日酔いの患者さんへの対応は異なります。私が働いている病院では二日酔いで外来を受診しても保険診療を受けることができます

それは病気の名前を「脱水症」や「逆流性食道炎」として治療をするからです。病名を脱水症にすれば点滴の治療ができますし、逆流性食道炎であれば胃薬を使用することができます。いずれも保険診療で認められています。

このように、二日酔いで保険診療を受けることができるかは医療機関によって対応が異なりま

二日酔いで診断書は書いてもらえるのか

通常診断書は、病気で入院したり、交通事故にあって入院したときなどに、会社に提出したり、保険会社に提出したりするために必要になるものです。

では二日酔いで外来を受診したり入院した場合は、診断書は作成してもらえるのでしょうか。

私の知り合いの医師に聞くと、診断書は患者さんが希望すれば書くと言っていました。しかし、それは患者さんのためというよりは、断ったことで後々めんどくさい事になるのを避けるためだそうです。

ちなみに診断書の作成は保険診療の対象外なので、作成してもらうのに3000円〜5000円かかります。金額は病院によって違います。

また、別の医師に話を聞くと「二日酔いの患者さんを診察する時は、正直あまりモチベーションが上がらない」と言っていました。確かに患者さんがお酒を飲みすぎたことが原因なので、先生の言い分もわかります。

診断書は希望すれば書いてもらえそうですが、医師も忙しいのであまり横柄な態度でお願いはしない方がよいかもしれません。

未成年が二日酔いで病院に行った場合どうなるのか

20歳未満の未成年者は法律で飲酒を禁止されています。このことを知らない人はいないでしょう。ではなぜ未成年者の飲酒は禁止されているのでしょうか。

未成年者の飲酒が禁止されているのは、成長段階で飲酒をしてしまうと脳の成長やホルモンの分泌に悪影響が出やすいからです。

具体的には、脳の発達に影響が出て、脳萎縮が起きる危険があります。また、ホルモンの分泌への影響から男性であればインポテンツ、女性であれば生理不順になる可能性があります。

このように法律でお酒を飲むことが禁止されている未成年者が二日酔いで病院を受診した場合、一体どうなるでしょうか。

これは患者さんの状態と病院によって対応はまちまちなのが実情です。

診察した医師から本人と家族がお叱りを受けるのは当然ですが、警察に通報されることは意外と稀です。来院時に怪我をしていて、事件性が疑われるような場合であれば警察に連絡されることもあります。

しかし、何の事件性がない場合はそのまま帰宅するのがほとんどのようです。もちろんこれは医師、病院のスタッフによって対応は変わってきます。そもそも未成年者はお酒は飲まないようにしましょう

まとめ

二日酔いで病院を受診した時にどのような治療をされるのかについて説明してきました。

二日酔いで病院に行く時には内科を受診するようにしましょう。事前に病院に問い合わせると安心です。

病院を受診すると点滴による治療が行われます。脱水を改善するために、大量に点滴を実施します。吐き気や胃もたれに対する薬が使われることもありますが、これらの症状は時間の経過と共に自然と改善することがほとんどです。

二日酔いでの外来受診は保険診療での対応も可能ですし、診断書も書いてもらえます。万が一未成年が二日酔いで受診しても治療をしてもらえます。

いずれにしても二日酔いで外来を受診しても治療は受けることができますが、あまりいい顔はされないのは間違い無いでしょう。

病院で治療を受ければ症状は回復します。しかし、大切なのは二日酔いにならないように注意することです。お酒の飲み方を工夫したり、サプリメントを摂取して二日酔いを予防したりするようにしましょう。