あなたは普段、朝食で何を食べることが多いですか。白飯を食べる人、パンを食べる人など、食事は多様化していると思います。

私は昔から朝食は白飯を食べることが多いです。実家で生活しているときは朝食は必ず白飯だったためです。

そして、白飯を食べるときは、必ず味噌汁が出ていました。結婚した今でも、ほぼ同じ食生活が続いているので、朝味噌汁を食べることは当たり前のようになっています。

お酒を飲んだ次の日にご飯を食べるとき、汁物が食べやすいと感じたことはないでしょうか。実は、汁物の中でも味噌汁では、二日酔いの改善に効果的な成分を摂取することができます。

ここでは、味噌汁を食べることが二日酔いの改善に効果的かどうかについて説明していきます。

味噌汁には二日酔いの改善に必要な成分が含まれている

二日酔いのときは、頭痛、嘔吐、下痢など、さまざまな症状に襲われると思います。そのようなときは、普段と同じようにご飯を食べることはなかなかできません。

味噌汁は昔から日本でよく食べられている食べ物です。では、なぜ味噌汁が好んで食べられているのでしょうか。

その理由の1つに、味噌汁に入れる味噌には、三大栄養素のタンパク質、脂質、炭水化物が全て含まれていることが挙げられます。実際に私の家にある味噌の成分表を下に載せています。

図(味噌の成分表)

その中でも、味噌にはタンパク質が豊富に含まれています。

タンパク質(アミノ酸)

味噌には多くのタンパク質(アミノ酸)が含まれています。

また、タンパク質を構成しているのはアミノ酸です。味噌は大豆から作られますが、大豆に含まれるタンパク質は、味噌になる過程で、半分以上がアミノ酸に分解されることが知られています。

そして、タンパク質はそのままでは体の中に吸収されません。一旦アミノ酸まで分解されて、アミノ酸の状態になって体に吸収されます。

図(タンパク質は分解されて、アミノ酸として吸収される)

アルコールは肝臓で分解されます。そして、摂取するアルコールの量が増えると、肝臓が傷んでしまいます。

アルコールの分解で肝臓が傷むと、人間の体は肝臓を修復しようとします。そのときに必要な物質の1つがグルタチオンと呼ばれるものです。

グルタチオンはシステインと呼ばれるアミノ酸を原料にして体の中で作られます。したがって、システインを摂取することで、グルタチオンが作られ、傷んだ肝臓の修復が進められます。

また、システインはアミノ酸のメチオニンから作られます。そして、味噌にはシステインやメチオニンを含むタンパク質が含まれています。

図(味噌に含まれるタンパク質、アミノ酸によって肝機能が回復する)

また、メチオニンには二日酔いの原因物質の1つのアセトアルデヒドの量を減らす作用も報告されています(Alcohol Clin.Exp.Res. 1989,13,164)

このように、味噌に含まれるタンパク質とアミノ酸によって、肝臓の機能を回復させたり、二日酔いを軽減させたりすることができます。

なお、味噌にはいろいろな種類があり、含まれるタンパク質の量は若干違います。しかし、どの味噌を使用してもタンパク質は含まれています。例えば、赤味噌を使用した赤だしでも、問題なくタンパク質(アミノ酸)を摂取できます。

水分

お酒を飲むとトイレに行く回数が増える人は多いと思います。私も日中は1〜2回しかトイレに行きませんが、お酒を飲むと1時間に1回くらい行くようになります。

これはお酒を飲むと、尿の量が増えるためです。

アルコールは脳に作用して、尿の量を調節するホルモンを減らす働きがあります。その結果、二日酔いのときは体が脱水状態になっています。

図(アルコールを飲むと尿量が増える)

味噌汁を食べると、当然水分を摂取することができます。極端に言えば、具なしの味噌汁でも、味噌と水分を摂取することができます。

第2章で、具材によっていろいろな栄養分を摂取できることを紹介しますが、気持ち悪いときは、具材を食べるのがしんどいこともあります。

私は普段、ビールばかり飲みますが、アルコール度数が高いワインなどをたくさん飲んでしまった翌日は、ひどい二日酔いに襲われます。固形のものを食べる気にならず、何を食べても吐くのではと感じてしまいます。

そのようなときは、味噌汁でも具材がほぼないものが飲みたくなることがあります。具材がない味噌汁を少しずつ食べる(飲む)だけでも、脱水を改善することができます。

塩分

体から水分が失われるときは、塩分も失われます。あなたは汗が口に入ったときに「しょっぱい」と感じたことはないでしょうか。これは汗として水分が失われるときに塩分も一緒に失われるためです。

味噌には塩分も含まれています。塩分が少なめの減塩味噌も売られているので、味噌に塩分が含まれていることを知っている人も多いと思います。

近所のスーパーマーケットで売られている味噌を見てみましたが、下のように、含まれる塩分量は大きく異なっていました。

図(味噌の成分表の比較(塩分))

このように、味噌の種類によって含まれる塩分量は異なりますが、どの味噌を使っても塩分も補うことができます

具材の組み合わせによって、いろいろな栄養分を摂取することができる

味噌汁は、家庭によって入れる具材が全然違うと思います。我が家でも、母親が作る味噌汁と家内が作る味噌汁では、具材が違います。また、日によっても内容の違いがあります。

続いて、それぞれの具材にどのような栄養分が含まれているかについて説明します。

しじみ、あさり

まず、しじみには二日酔いの改善に効果的な成分がいくつも含まれています。具体的には以下の5つが挙げられます。

成分名 効果
オルニチン 倦怠感、疲労感の改善
アラニン 血液中のアルコール濃度の低下
グルタミン
メチオニン 肝機能の改善
タウリン 肝機能の改善

オルニチンは、体の中で生成する毒物であるアンモニアを解毒するのに用いられます。アルコールや、二日酔いの原因物質の1つのアセトアルデヒドの分解に直接関わるわけではありません。

お酒を飲むと体の中でアンモニアの量が増えることが知られています。アンモニアの解毒もアルコールと同じように肝臓で行われます。

そこで、オルニチンを補うことで、アンモニアの解毒を効率的に進めることができるようになります。その結果、肝臓がアルコールの分解に専念できるようになります。

図(オルニチンが肝機能をサポートする)

そして、オルニチンには、お酒を飲んだ翌日の倦怠感、疲労感を改善する効果も報告されています(Biopsychosoc. Med. 2013,7,6)。

また、アラニンとグルタミンを摂取することで、以下の図のように血液中のアルコール濃度を下げることがわかっています。

図(アラニンとグルタミンが血中アルコール濃度を下げる)

引用:味の素株式会社ホームページ

メチオニンは二日酔いの原因物質のアセトアルデヒドの量を減らす作用が報告されています。少し古い論文ですが、ヒトがメチオニンを摂取することで、アセトアルデヒドの量が減ることを示したものを下に示します。

図(メチオニンによってアセトアルデヒドが減る)

タウリンは栄養剤にも含まれており、テレビCMで聞いたことがある人もいると思います。タウリンは疲労回復のために用いられますが、その作用には肝臓の機能を回復も関わっています。

なお、タウリンは以下のように、肝機能の改善目的で使用する医薬品としても認められています。

図(タウリンの写真、添付文書)

また、しじみは味噌汁でなくても、お吸い物にすることでも食べることができます。

そして、しじみに含まれるこれらの成分は二日酔いの改善、予防に効果的なので、以下のように多くのサプリメントも売られています。

図(サプリメントの写真)

この写真は、近所のドラッグストアで撮ったものですが、しじみのサプリメントだけでも7種類扱っていました。

このように、しじみにはアルコールの分解を促したり、肝臓の機能を改善したりするための成分がたくさん含まれています。そのため、しじみの味噌汁を食べることは、二日酔いの軽減に効果的です。

また、しじみ以外の貝類で、二日酔いに効くのはあさりです。

あさりにもしじみと同様に、タウリンが含まれています。そのため、あさりも二日酔いを治すために食べられることがある具材です。

玉ねぎ

アルコールを分解するときには、さまざまな栄養分が消費されます。その中の1つにビタミンB1があります。

アルコールは肝臓で分解されて、二日酔いの原因物質の1つのアセトアルデヒドになります。アセトアルデヒドも肝臓で分解されて、体にとって無害な酢酸になります。

そして、ビタミンB1はこのどちらの分解でも消費されます。

図(アルコール代謝でビタミンB1が消費される)

玉ねぎに含まれる「アリシン」は、ビタミンB1と結合して、ビタミンB1の吸収をよくしてくれる効果があります。玉ねぎを食べることで、ビタミンB1を効率的に体の中に取り込むことができます。

図(アリシンによってビタミンB1の吸収が改善する)

しめじ、なめこ

きのこ類には、アルコールやアセトアルデヒドの分解で消費される栄養素であるナイアシンが多く含まれています。

ナイアシンはビタミンB3とも呼ばれるビタミンの1つです。ナイアシンは以下の図のように、アルコールとアセトアルデヒドの分解で使用されます。

図(ナイアシンが消費される)

きのこ類は味噌汁に入れる具材として定番だと思います。その中でも、しめじとなめこには、ナイアシンが多く含まれています。

長ネギ、キャベツ、大根(大根おろし)

ビタミンB1、ナイアシン(ビタミンB3)がアルコールとアセトアルデヒドの分解で消費されることを説明しましたが、ビタミンCも同様に消費されます。

図(アルコールの分解でビタミンCが消費される)

ビタミンCは主に野菜に多く含まれています。味噌汁に入れる具材の中では、長ネギ、キャベツ、大根(大根おろし)などにビタミンCが多く含まれています。

トマト

トマトを味噌汁に入れる人は少ないのではないでしょうか。しかし、トマトを摂取することで、アルコールやアセトアルデヒドを分解する力が強くなることが知られています。

カゴメ株式会社とアサヒグループの共同研究によると、動物実験でトマトの成分を摂取したあとにアルコールを投与すると、アルコールとアセトアルデヒドを分解する酵素の活性が高くなることがわかっています

図(動物実験の結果)

引用:カゴメ株式会社ホームページ

また、ヒトで同じような実験をしても、血液中のアルコール濃度が下がることを報告しています。

図(ヒトでの実験結果)

引用:カゴメ株式会社ホームページ

このように、トマトを食べることで、アルコールやアセトアルデヒドの分解を促す効果が期待できます。

生姜(しょうが)

生姜は昔から健康のために食べられており、味噌汁に限らずさまざまな料理に使用されます。

その中でも、生姜に含まれるジンゲロールショウガオールと呼ばれる物質は吐き気を改善する作用が知られています。

吐き気を感じるときにはセロトニンと呼ばれる物質が関わることが知られています。

例えば、抗がん剤の中には、副作用で吐き気が起きるものがあります。このときの吐き気を軽減させる目的で使用される医薬品は、セロトニンの働きを抑制するものです。

そして、生姜に含まれるジンゲロールとショウガオールも、セロトニンの働きを抑制することによって、吐き気を軽減させる働きを示します。

図(ジンゲロールとショウガオールの作用機序)

そのほかの具材

味噌汁にはここまで紹介してきた具材以外にも、二日酔いの改善に効果がある食材を入れることができます。それらについて、以下の表にまとめています。

具材 多く含まれる栄養分 期待できる効果
システイン 肝機能の回復
豆腐 タンパク質 肝機能の回復
納豆 タンパク質 肝機能の回復
あおさ(海苔) ナイアシン アルコール、アセトアルデヒドの分解で消費される
わかめ ナイアシン アルコール、アセトアルデヒドの分解で消費される
梅干し 塩分 アルコールの利尿作用で失われた塩分の補充
ビタミンC、ビタミンB1 アルコール、アセトアルデヒドの分解で消費される

日頃味噌汁に入れている具材には、二日酔いの症状改善に効果的な成分が含まれていることがわかります。具材の組み合わせはやレシピは、クックパッドなどのサイトでたくさん紹介されています。

また、私のように普段料理をしない人でも、コンビニやドラッグストアで、インスタントの味噌汁を購入することで、手軽に味噌汁を食べることができます。

近所のドラッグストアには、以下のような商品が売られていました。

図(インスタントの味噌汁)

しじみの味噌汁、わかめの味噌汁など、多くの種類が売られていることがわかります。

このような商品を購入すれば、お湯を沸かして入れるだけで味噌汁を食べることができます。

実際に二日酔いのときに味噌汁を飲んで、症状が改善するか

実際に二日酔いのときに味噌汁を食べて、二日酔いの症状が改善するかについて検証してみました。

その結果は、予想した通り、何もしないより二日酔いが治るのは早かったです。

私は日頃から味噌汁を食べていますが、二日酔いのときは特においしいと感じます。これは私の感覚ですが、体がいろいろな栄養素を必要としているため、二日酔いのときに味噌汁を食べると「うまい」と感じるのではないかと思っています。

二日酔いになったときの対処法はいろいろありますが、味噌汁を食べることは効果的な方法と言えます。

味噌汁にはいろいろな具材を入れることができます。また、具材を入れるのが面倒であれば、具なしの味噌汁でも水分や塩分を摂取できます。

具材によって摂取できる成分は大きく異なります。しかし、どのような具材を選択しても、味噌汁が二日酔いを解消できる食べ物であることは間違いないでしょう。

味噌汁は寝る前の二日酔い対策としてもおすすめ

味噌汁は朝食で食べることが多いと思います。私も朝以外に食べることはありません。

実は、味噌汁は朝だけでなく、寝る前に飲むことで、二日酔いの予防効果があります。味噌や、ここまで紹介してきた具材に含まれる成分は、アルコールやアセトアルデヒドの分解で消費されるものが多いです。

そのため、お酒を飲んで寝る前に摂取することで、アルコールやアセトアルデヒドの分解をサポートしてくれます

しかし、夜にわざわざ味噌汁を作るのは気が進まないでしょう。また、衛生面を考えると、夜に大量に味噌汁を作っても、翌日の朝食べるのは抵抗がある人もいると思います。

そこで、夜食べるのであれば、インスタントの商品を利用するもの1つの方法です。

また、家にあるもので簡単に作れる味噌汁もあります。それは、沖縄で伝統的に二日酔いに対して食べられている「かちゅー湯」という食べ物です。

作り方は非常に簡単で、お椀に鰹節と味噌を入れて、お湯を混ぜると完成です。私も作って食べてみましたが、作り方も簡単で、美味しく食べることができました。下に、私が実際に作った時の写真を載せています。

図(かちゅーゆの写真)

そして肝心の二日酔いを防止する効果や改善効果も、感じることができました。

このように、味噌汁はどのタイミングで食べても二日酔いに対して効果を示す食べ物です。

二日酔いに限らず、日頃から味噌汁を食べることにメリットがある

ここまで紹介してきたように、味噌汁を食べることで、二日酔いの症状の改善や、肝臓の機能を回復されるための成分を摂取することができます。

特に、肝臓の機能は、ここで紹介した成分を摂取してすぐに回復するようなものではありません。肝臓の機能回復に用いられるアミノ酸は原料なので、肝臓の機能回復が現れるまでには少し時間がかかります。

そこで、日頃から味噌汁を食べることで、肝臓の機能に関わる多くの栄養素を摂取しておくことも大切です。これらの栄養素を日々摂取することで、常に肝臓が元気な状態にしておくことができます。

まとめ

ここでは、味噌汁を食べることが二日酔いの改善に効果的かどうかについて説明しました。

まず味噌には、肝臓の機能回復を助けてくれるタンパク質が多く含まれています。味噌汁に具材を入れなくても、水分、塩分だけでも摂取できます。

そして、味噌汁に入れる具材を工夫することで、二日酔いの軽減を早めることができます。

また、味噌汁はお酒を飲んだあとに食べることでも、二日酔いの防止効果が期待できます。

二日酔いの対処の仕方はいろいろあります。治し方も人それぞれだと思います。そのなかで、日本人の生活になじみのある味噌汁が、二日酔いの改善に効果的であることは覚えておいてもよいのではないでしょうか。