あなたは好きなお酒の種類がありますか? 私はビールが好きなので、家でお酒を飲むときは、ビールしか飲みません。

しかし、日本酒や赤ワインも好きなので、居酒屋で飲むときは、これらもつい注文しまいます。そのようなときに「ちゃんぽんをすると二日酔いになりやすい」という話になったことはないでしょうか。

確かにいろいろなお酒を飲んだ翌日は、普段より二日酔いがひどいような気もします。では、実際のところはどうなのでしょうか。ちゃんぽんをすることによって二日酔いがひどくなる根拠はあるのでしょうか。

ここでは、ちゃんぽんをすると二日酔いがひどくなるかについて、私が実際に実験をしてみた結果も踏まえて説明していきます。

また、アルコールの摂取量以外に二日酔いの程度に関わるものについても説明します。

ちゃんぽんをすると二日酔いになりやすいのか

複数のお酒を飲むちゃんぽんをすると、本当に二日酔いになりやすいかについて検証してみました。飲んだお酒は下に示す缶ビール、日本酒、ハイボール、赤ワインの4種類です。

まずは、検証方法について説明します。以下の3つの条件を試しました。

続いて、これらの条件を設定した根拠について説明します。

1つ目の条件(No.1)は缶ビールだけを飲みました。350mLの缶を4本です。

私は普段自宅で飲むときは、350mLの缶ビールを3本か4本飲みます。そして、このくらい飲むと若干二日酔いになります。この飲み方で二日酔いになることはわかっているので、この条件を基本とすることにしました。

2つ目の条件(No.2)は、350mLの缶ビールを2本にして、そのあとは日本酒を飲みました。

当然日本酒の方が、ビールよりアルコール度数が高いです。そこで、摂取するアルコール量をそろえるために、缶ビール700mLに含まれるアルコール量と同じ量のアルコールが摂取できる日本酒を飲みました。

缶ビールのアルコール度数が5%、日本酒のアルコール度数が17%だったので、日本酒を206mL飲むことにしました。

3つ目の条件(No.3)では、ビール、日本酒、ハイボール、赤ワインをこの順番で飲みました。2つ目の条件と同じように、缶ビール350mLに含まれるアルコールと同じ量のアルコールが摂取できる日本酒、ハイボール、赤ワインの量を計算しました。

アルコール度数はハイボールが7%、赤ワインが13%でした。したがって、ハイボールを250mL、赤ワインを135mL、そして日本酒を103mL飲むことにしました。

これで、すべての条件で摂取するアルコールの量は同じになります。飲むお酒の種類も1種類、2種類、4種類にしており、4種類飲む場合(No.3)はちゃんぽんをしていると言えるでしょう。

そして、これらの条件を試した結果は、どの条件のときも翌日の二日酔いの程度はほぼ同じでした。私は二日酔いになるときは、主に体のだるさと気持ち悪さを感じますが、どちらの症状も差はありませんでした。

この検証結果より「ちゃんぽんをする=二日酔いがひどくなる」は間違いであると言えます

もちろん、これ以上のお酒を飲むと、二日酔いの程度がひどくなるのは明らかです。

例えば、缶ビールを5本、6本と飲むと、悪酔いしてしまい、二日酔いはひどくなります。また、No.3の条件で、最後の赤ワインをさらに追加して飲むと、翌日はしんどい思いをします。

したがって、ちゃんぽんをすると二日酔いがひどくなるのではなく、「大量のお酒を飲むと二日酔いがひどくなる。それは飲むお酒の種類が増えても増えなくても同じ」が正解と言えるでしょう

お酒の種類によって二日酔いのなりやすさは違うのか

さきほどは、ちゃんぽんをしても二日酔いはひどくならないことを説明しました。しかし、なかなか納得できない人もいるのではないでしょうか。

今回の実験では、どの条件でも二日酔いの程度は一緒でした。アルコール量以外の条件(食事の量、その日の仕事による疲労度など)も、だいたい同じにして実験しました。

しかし、居酒屋でいろいろなお酒を飲むと、自分の予想以上に二日酔いがひどくなることは珍しくありません。

そのときは飲むお酒の量が多かったこともありますが、実はそれ以外の要因も関わっていることもあります。続いて、これらについて詳細な説明します。

ホルムアルデヒド

お酒に含まれるアルコールは、その主成分の名前をエタノールと呼びます。エタノールはアルコールの一種です。

しかし、世の中にはたくさんの種類のアルコールがあり、その1つにメタノールがあります。

メタノールは、お酒に含まれる量がごく微量です。そのため、お酒の成分表を見ても、含有量は載っていません。

下に、お酒に含まれるメタノールの量を測定したものを紹介します。お酒の種類によって、含まれるメタノール量が異なっているのがわかると思います。

エタノールとメタノールは、かなり似ています。昔の人のなかに、エタノールを買うお金がなく、メタノールをお酒の代わりとして飲んでいた人がいるという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。

メタノールは、エタノールと同じように肝臓で分解されます。そして、メタノールが分解されるとホルムアルデヒドと呼ばれる物質になります。

このホルムアルデヒドも、アセトアルデヒドと同じように毒性があり、二日酔いの原因物質の1つとして考えられているのです。

メタノールが含まれる量は、お酒の種類によって違います。したがって、どのお酒を飲むかによって、ホルムアルデヒドができる量も違うので、二日酔いの程度も変わってきます。

お酒に含まれる不純物

メタノール以外の成分も二日酔いに関わることが知られています。その話をする前に、まずは醸造酒蒸留酒の違いについて説明をします。

お酒は、原料の穀物や果物を発酵させて作る「醸造酒」と、醸造酒を加熱・精製(この工程を蒸留という)させて作る「蒸留酒」のいずれかに分類されます。

醸造酒にはワイン、日本酒、ビールなどがあります。一方、蒸留酒にはブランデー、ウイスキー、焼酎などが含まれます。

醸造酒と蒸留酒の違いは、蒸留の工程があるかどうかです。そして、蒸留酒の方が蒸留によって精製されているので、不純物の量が少ないです。

下に、醸造酒の赤ワイン(左)と、蒸留酒のブランデー(右)の写真を載せております。この二つを比較するとブランデー(右)の方が、色が薄いのがわかります。

色が薄いということは、含まれている成分の量が少ないと言えます。ブランデー(蒸留酒)の方が赤ワイン(醸造酒)よりも精製されている分、不純物が少ないのです。

したがって、不純物が多く含まれる醸造酒の方が二日酔いになりやすいと言えます。

そのほかの影響

お酒に含まれるエタノール以外の成分が、二日酔いに関わっていることを説明しました。

実は二日酔いになりやすさについては、これらの成分だけでは説明ができないこともあります。最後に、成分によるもの以外について説明します。

個人の好みや体質によるもの

あなたには好きなお酒と嫌いなお酒がありますか? 私は焼酎が嫌いです。その理由は、焼酎を飲むと翌日必ず気持ち悪くなるからです。

例えば、芋焼酎を飲むと、翌日の朝は口の中が必ず芋焼酎のにおいになっています。私は、あのにおいがすきではありません。

したがって、家で飲むときも居酒屋で飲むときも、次の日に気持ち悪くなるので芋焼酎を飲むことはありません。最初に紹介したちゃんぽんの実験でも、組み合わせの中に焼酎は入れませんでした。

また、私の家内は日本酒が飲めません。日本酒を飲むと、翌日必ず頭痛がしたり、気持ち悪くなったりするそうです。ひどいときは、飲んだあとに吐くこともあったそうです。

しかし、ビールであれば缶ビールを5~6本飲んでも、翌日は元気にしています。

そしてもちろん、日本酒を飲んだ人の全員が頭痛になったり、気持ち悪くなったりするわけではありません。

これらは、飲んだアルコール量だけでは説明ができません。においの好き嫌いや、アルコール以外の成分の影響が、体調に現れていると考えられます

その日の体調

いつもと同じ種類のお酒を同じ量飲んでも、「二日酔いが思ったよりも軽い」と感じることがあれば、「こんなにひどいなんて」という経験をしたこともあると思います。

これらはその日の体調や、お酒を飲むときに食べるものによる影響を受けている可能性があります。

二日酔いのときは、体が脱水状態になっています。これはアルコールに尿の量を増やす作用があるためです。

体調が悪いときにお酒を飲むと、二日酔いになりやすいです。体調が悪いときは、食事や飲水が不足しがちなので、すでに体が脱水気味になっていることも珍しくありません。

そのような状態のときにお酒を飲むと、脱水がさらに悪化してしまいます。脱水がひどくなると、倦怠感や吐き気が起きやすくなります。

食べ物による影響

また、食べるものによっても二日酔いのなりやすさは影響を受けます。極端な話では、何も食べずにお酒を飲むのと、食事をしながらお酒を飲むのでは、何も食べない方が二日酔いになりやすいです。

食べ物にはいろいろな栄養素が含まれています。そのなかには、アルコールの分解に関わる栄養分もあります。例えば、ビタミンB1ビタミンCは、アルコールや二日酔いの原因物質のアセトアルデヒドの分解で消費されます。

また、タンパク質を構成しているアミノ酸は、アルコールとアセトアルデヒドを分解する肝臓の働きをサポートしてくれます。

これらの栄養素の量は、食事内容によって大きく異なります。例えば、野菜にはビタミンB1やビタミンCが多く含まれます。ほかにも、豚肉にはビタミンB1やタンパク質が豊富に含まれています。

また、これらの栄養素が含まれている以下のようなサプリメントも売られています。

このように、食事によって含まれる栄養分が異なるので、食事内容によって二日酔いのなりやすさも変わってきます。

まとめ

ここでは、ちゃんぽんをすると二日酔いになりやすいか、お酒の種類による二日酔いのなりやすさの違いについて説明しました。

ちゃんぽんをすると、二日酔いになりやすいと言われることもあります。しかし、実際に検証した結果では、ちゃんぽんをしても二日酔いの程度は変わりませんでした。

ちゃんぽんをすると、お酒を飲む量が増えてしまうことが多いです。その結果として二日酔いがひどくなることから、このようなことが言われるようになったのではないかと思います。

また、同じ量のアルコールを摂取しても、二日酔いのなりやすさはお酒の種類によって異なります。メタノールやそのほかの不純物が多いお酒を飲むと、同じアルコール量を飲んでも二日酔いになりやすいです。

そして、個人の好みや、その日の体調、飲みながら何を食べるかによっても、翌日の体調への影響は大きく変わってきます。

お酒を飲むときは、飲み過ぎに注意することは当然です。しかし、飲み始めるとなかなかセーブできない気持ちもよくわかります。

食べるものを工夫したり、サプリメントを摂取して飲み会に臨んだりして、二日酔いになりにくくするための対策もする必要があるでしょう。