あなたはどのようなときに蕎麦を食べますか。私は夏場に食べることが多いです。例えば、ざるそばは夏の暑いときに食べたくなります。ざるそばを選ぶ理由は、冷たくてあっさりしているからです。

同じような特徴の食べ物にうどんがあります。どちらも体調が悪くても食べやすいですし、多少の吐き気があっても食べることができます。

実は、蕎麦には多くの栄養分が含まれており、アルコールの分解を助けてくれる成分も含まれています。また、うどんにはなく、そばにだけ含まれている肝臓の働きを助ける成分もあります。

ここでは、蕎麦を食べることは二日酔いの軽減に効果的か、蕎麦湯を飲むことは二日酔いの改善に効果的かについて説明していきます。

そばは二日酔いの改善に効果的な成分を含む

蕎麦は健康にいいというイメージをもっている人もいると思います。実際に、蕎麦には二日酔いの改善に効果的な成分がいくつも含まれています。

まずは、蕎麦に含まれる栄養分の中で、二日酔いの症状改善に関わる栄養分について説明します。

二日酔いのときに摂取した方がよい栄養分

・炭水化物

蕎麦は炭水化物を多く含む食べ物です

炭水化物を含む食べ物は、口の中で噛んでいると、徐々に甘くなってきます。これは、炭水化物が分解されて糖分になるためです。

二日酔いのときは、倦怠感に襲われると思いますが、この原因の1つに、血糖値が下がっていることがあります。

お酒を飲むと、肝臓がアルコールや、アルコールが分解してできる二日酔いの原因物質のアセトアルデヒドの分解をし始めます。

本来、肝臓は生きていくために必要な働きを多く担っています。例えば、人の体の中でさまざまな働きをするタンパク質は、体に吸収されたアミノ酸を原料にして肝臓で作られます。

そして、肝臓の仕事の1つに「糖分の生成」があります。

アルコールとアセトアルデヒドは体にとって異物なので、肝臓が分解を始めます。そして、アルコールの摂取量が増えると、肝臓はアルコールとアセトアルデヒドの分解に専念し始めてしまいます。その結果、糖分の生成が少なくなってしまい、血糖値が低下してしまうのです

蕎麦には炭水化物が含まれているので、食べると血糖値が上がります。蕎麦の1人前(茹でたあとで約200g)には、約52gの炭水化物が含まれています(引用:五訂増補日本食品標準成分表)。これはおにぎりであれば1.5個分の炭水化物の量です。

このように、蕎麦には炭水化物が含まれており、低血糖を改善する効果があります。

・ナイアシン

ナイアシンは、ビタミンB3とも呼ばれるビタミンの1つです。そして、ナイアシンにはアルコールやアセトアルデヒドの分解を助ける働きがあります。アセトアルデヒドは分解されると、体にとって無害な酢酸になります。

お酒を飲んでいるときや、二日酔いのときは、アルコールとアセトアルデヒドが分解され続けているので、ナイアシンがどんどん消費されています。

そこで、ナイアシンを摂取することで、これらの分解を助けることができます。

ナイアシンは、うどん、ラーメン、白米にも含まれていますが、蕎麦に比べると少ないです。実際にそれぞれに含まれるナイアシンの量を下にまとめています。

食べ物 100gに含まれる

ナイアシン量 (g)

白米 1.2
ラーメン 0.6
うどん 0.6
蕎麦 3.4

引用:五訂増補日本食品標準成分表

このように、蕎麦にはアルコールやアセトアルデヒドの分解に必要なナイアシンが多く含まれています。

・コリン

コリンは、人が生きていくために必須な栄養分です。体の中では細胞の原料になったり、脳の働きに関わったりと、幅広く利用されています。

コリンの働きの1つに肝臓の機能の維持があります。コリンが含まれない食事を続けていると、肝臓に脂肪が溜まる脂肪肝になったり、傷ついた肝臓のダメージの回復が遅くなったりすることがわかっています。

そして、コリンはそば粉に含まれている栄養分で、米、うどん、ラーメンには含まれていません。したがって、蕎麦を食べて、コリンを摂取することで、アルコールの分解で傷ついた肝臓の回復を早めることができます。

・塩分

二日酔いのときは体から塩分が失われているので、塩分を摂取する必要があります

塩分の摂取について説明するためには、まずは、二日酔いのときは体が脱水状態になっていることについて理解する必要があります。

お酒を飲むと尿量が増えます。お酒を飲んだあとは、トイレにいく回数が増える人も多いと思うので、納得できる人は多いと思います。実際に、ビールを1000mL飲むと1100mLの尿が出るという報告もされています。

引用:大塚製薬株式会社ホームページ

この尿の量が増えるのは、アルコールが尿の量を調節しているホルモンの量を減らすことによります。このホルモンが減ることで、作られる尿の量が増えて、結果的に脱水になってしまいます。

そして、体から水分が失われるときは、同時に塩分も失われています

例えば、汗をかくと、水分だけでなく塩分も体から出ていきます。汗が口に入るとしょっぱいのを感じると思います。これは、汗の中に塩分が含まれているためです。

これは尿についても同じで、尿の中には塩分が含まれています。そのため、尿の量が増えると、塩分が失われる量も増えます。

そして、蕎麦に含まれる塩分量は、蕎麦の種類によってかなり差があります

まず、蕎麦に塩分が含まれるかどうかは、生麺か乾麺かで異なります。生麺には塩分が含まれておらず、乾麺には塩分が含まれています。このように、全ての蕎麦に塩分が含まれているわけではありません。

そば屋で蕎麦を食べる場合は生麺を食べるので、そば屋の蕎麦には塩分は含まれていません。

その一方で、スーパーで売られているような乾麺には塩分が含まれます。しかし、その量は多くありません。下に市販の乾麺の成分表を載せています。

厚生労働省が定めている、1日あたりの塩分摂取量の目標値は男性が8g未満、女性が7g未満です。1人前が約100gなので、含まれる塩分量は1.7g程度です。

そして、蕎麦の中でも、カップ麺は塩分が多く含まれます。以下にカップ麺の成分表を載せています。

1日の塩分摂取量の目標値に近い塩分量が含まれていることがわかると思います

このように、同じ蕎麦でも、商品によって含まれる塩分の量は全然違います。

二日酔いのときの食べ物という意味では、塩分量がある程度含まれている方が望ましいです。

しかし、カップ麺には大量の塩分が含まれています。また、塩分以外に脂質も多く含まれていることから、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の人は注意が必要です。

二日酔いのときに控えた方がよい栄養分も含まれている

ここまで、蕎麦に含まれる成分が二日酔いの症状の改善や、肝臓の機能の回復に効果的であることについて説明してきました。

実は蕎麦には、二日酔いのときに摂取すると、逆に症状の回復が遅くなるかもしれない栄養素も多く含まれています。それが食物繊維です。

食物繊維とは、「人の体では消化することができない食べ物の中の成分」のことです。食物繊維が多く含まれる食材としては、ゴボウやキノコ類を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

実は、そばはうどんや白米と比べて食物繊維が多く含まれる食べ物です。消化が悪いと言われているラーメンにも、食物繊維は多く含まれています。

食べ物 100gに含まれる

食物繊維量 (g)

白米 0.5
ラーメン 2.1
うどん 1.2
蕎麦 2.7

引用:五訂増補日本食品標準成分表

食物繊維は便秘の解消、コレステロール値の低下、腸内環境を整える作用などが知られています。したがって、日常生活の中ではむしろ積極的に摂取した方がよい栄養素です

しかし、最初に説明したように、食物繊維は人の体では消化されません。食物繊維が多く含まれていると、食べた物がなかなか消化されません。

つまり、食物繊維を多く含むものを食べると、胃や腸に長く留まってしまいます。その結果として、胃もたれにつながる可能性があります。

二日酔いのときは、胃腸の負担を減らすために、少しでも消化のいい食べ物を食べる方がよいです。蕎麦は食物繊維が多く含まれるので、胃もたれには注意が必要です

どのようなトッピングをすればよいか

お店で蕎麦を食べるときは、何かしらトッピングがされているものを注文することが多いと思います。インターネットで調べると、いろいろな具材を使ったレシピが紹介されています。

適切な具材を選択することで、二日酔いの改善効果が増します。しかし逆に、トッピングの内容によっては二日酔いの回復が遅くなってしまうようなものもあります。

そこで、二日酔いのときに効果的なトッピングと、二日酔いのときは避けた方がよいトッピングについて説明します。

・牛肉と豚肉にはタンパク質やビタミンB1が含まれる

部位によって差がありますが、牛肉にも豚肉にもタンパク質が多く含まれています。タンパク質を食べると一旦分解されて、アミノ酸になります。アミノ酸は、そのあと体の中に吸収されて、肝臓で作られるタンパク質の原料になります。

このとき作られるタンパク質は、傷ついた肝臓の機能を回復させます

また、豚肉にはアルコールやアセトアルデヒドの分解を助けるビタミンB1が多く含まれます。ビタミンB1は、アルコールやアセトアルデヒドの分解で消費されています。したがって、二日酔いのときにビタミンB1を摂取することで、アセトアルデヒドの分解を助けてくれます。

このように、牛肉と豚肉には二日酔いのときに摂取すると効果的な、タンパク質とビタミンB1が含まれます。

その一方で、牛肉と豚肉には脂質が多く含まれます。茹でることで20%ほど脂質が除かれると言われていますが、それでも脂質はある程度含まれます。

脂質は栄養分の中でも分解に時間がかかります。したがって、脂質が多い食べ物は胃に長く留まるので、胃もたれになりやすいです。ちなみに実際に食べてみましたが、私は肉に含まれる脂質の多さはあまり気になりませんでした。

牛肉と豚肉は二日酔いの改善や肝機能の回復には効果的な食べ物です。しかし、脂質が多い具材なので、胃もたれには注意が必要です

・とろろや大根おろしは消化を助けてくれる

二日酔いのときは胃や腸がダメージを受けています。そのため、消化のいいものを食べる方がよいです。

とろろと大根おろしには、食べ物の消化を助けてくれる成分が含まれています。一緒に食べることで、消化不良を起こしにくくしてくれます。

また、とろろのネバネバ成分のムチンは胃の壁を修復してくれる働きがあります。とろろそばにすることで、二日酔いで傷ついた胃の回復を早めることができます。

・天ぷらは消化不良を起こす可能性がある

天ぷらは油で揚げるので、その表面には多くの脂質があります。前述のように、脂質は消化に時間がかかる栄養分です。そのため、天ぷらは消化が悪い食べ物に分類されます

天ぷらそばは消化が悪い食べ物です。二日酔いのときは、脂質が少ないものをトッピングするようにした方がよいでしょう。

蕎麦湯にも栄養分が多く含まれる

お店で蕎麦を食べると、食べた後にそば湯が出てくることが多いです。私はあまり深く考えずにそば湯を飲みますが、好んで飲む人も多いです。

実は、蕎麦湯には栄養分が多く含まれています

先ほど説明したナイアシンは、実際には、蕎麦自体に含まれる量よりも、蕎麦湯に含まれる量の方が多いです。

同じように、蕎麦にはアルコールやアセトアルデヒドの分解に必要なビタミンB1が含まれています。このビタミンB1も水に溶け出しやすい性質があるので、蕎麦湯に多く含まれています。

このように、蕎麦湯には蕎麦から溶け出した栄養分が多く含まれています。したがって、蕎麦湯を飲むと栄養分を摂取できて、二日酔いの軽減にはよい効果を示します。

しかし、蕎麦湯に栄養分が溶け出しても、かなり薄くなっています。これは、蕎麦を茹でるときに大量のお湯を使うためです。

そして、実際に飲む蕎麦湯はコップ1〜2杯程度だと思うので、摂取できる栄養分の量はそこまで多くありません。

このように、蕎麦湯には栄養分が溶け出しているので、二日酔いの改善効果はあります。しかし、実際に飲める量はわずかなので、効果は薄いです

・めんつゆには塩分が含まれている

先ほど説明したように、蕎麦でも生麺には塩分が含まれていません。しかし、蕎麦を食べるときに使うめんつゆには塩分が含まれています。

実際に、市販のめんつゆの成分表を載せています。なお、このめんつゆは2倍濃縮のタイプです。

蕎麦自体には塩分が含まれていなくても、めんつゆには塩分が含まれていることがわかると思います。そのため、蕎麦湯をめんつゆと混ぜて飲むと、この塩分を摂取することになります。

このように、蕎麦湯を飲むときは、一緒に飲むめんつゆに含まれる成分についても考慮する必要があります

まとめ

ここでは、蕎麦を食べることは二日酔いの軽減に効果的か、蕎麦湯を飲むことは二日酔いの改善に効果的かついて説明してきました。

蕎麦には、炭水化物、ナイアシンなどの二日酔いの回復を促してくれる成分が含まれています。そして、蕎麦に含まれているコリンには、肝臓の機能の回復効果があります。コリンは、うどんやご飯などの炭水化物を含む食べ物には含まれていない栄養分です。

一方で、食物繊維が多く含まれるので、消化不良には注意する必要があります。

蕎麦に肉、大根おろし、とろろなどをトッピングすることで、二日酔いの改善を促したり、食べ物の消化を助けたりすることができます。

蕎麦湯には、二日酔いの改善に効果的な栄養分が溶け出しています。しかし、実際に飲める量はそのなかの一部だけなので、二日酔いの改善効果は薄いと考えた方がよいでしょう。

以上のように、蕎麦を食べることで二日酔いの改善効果はみられます。そして、蕎麦にしか含まれない肝機能を改善してくれる成分も摂取することができます。そのため、蕎麦を食べることで、アルコールの分解で傷ついた肝臓の機能の回復も期待できます。