お酒を飲んだ次の日の朝、体のだるさ、頭痛、吐き気に襲われることがあるでしょう。起きて「二日酔いだ。どうしよう」と思ったときに、最初に何をするでしょうか。このとき、水分を摂る人は多いのではないでしょうか。

水分補給のために飲むものといえば「スポーツドリンク」が挙げられます。水道水を飲むよりも甘みもあり、飲みやすいです。実際に二日酔いの朝にスポーツドリンクを飲む人は多いです。

ここでは、「なぜ二日酔いの症状改善にスポーツドリンクが効果的か」「それぞれのスポーツドリンクの特徴」「スポーツドリンクを飲むときの注意点について」などについて解説していきます。

スポーツドリンクが二日酔いに効果的な理由

スポーツドリンクといえば、「ポカリスエット 」「アクエリアス」「ヴァームウォーター(VAAM)」などが発売されています。運動の後や、夏に大量の汗をかいたときなどに、誰もが一度は飲んだことがあるでしょう。

熱中症対策も含め、スポーツドリンクは水分補給のために飲むことが多いと思います。

二日酔いであれば、アルコールが分解して生じる「アセトアルデヒド」という物質が関係していることが知られています。しかし、二日酔いの原因は他にもあります。それは下に示す2点です。

  • 脱水
  • 低血糖

スポーツドリンクにはこれらを改善する効果が期待できます。これらについてより詳しく説明していきます。

脱水の改善効果

お酒を飲むと普段よりもトイレに行く回数が多くなる人は多いのではないでしょうか。

私も仕事中は昼間に1〜2回しかトイレに行きませんが、お酒を飲むと1時間に1回は行くようになります。夜中に起きてトイレに行くようになる人もいるでしょう。

このようにトイレに行く回数が増えるのは、お酒に利尿作用という尿の量を増やす作用があるためです。

人の尿は腎臓で作られます。尿が作られるときには、尿の量を調節するホルモンが重要な働きをします。尿量調節に関わるホルモンが腎臓に働きかけることによって、尿量が適切な量を保っています。

そして、アルコールには「尿量を調節するホルモン」を抑制する作用があります。その結果、尿量が増えてしまい、体内の水分量が減ってしまいます。

脱水を改善するためには水分を摂取するしかありません。ただ、水分を摂取するだけなら、普通の水だけを飲んでも問題ないはずです。ではなぜ、スポーツドリンクがいいのでしょうか。

それは、スポーツドリンクは体液に近い内容になっているからです。このため飲んでも胃腸への負担が少ないです。つまり、二日酔いで弱っている胃腸のことを考慮するのであれば、スポーツドリンクを飲んだ方がよいです

低血糖の改善効果

また、アルコールは肝臓で分解されます。ここで認識しておかなければならないのは、「肝臓の仕事はアルコールを分解するだけではない」ということです。人間が生きるために必要なたくさんの仕事を同時にこなしています。

肝臓が行なっている仕事の1つに糖分の生成があります。肝臓は糖分の貯蔵庫としての働きがあり、血糖値に応じて少しずつ糖分が生成されます。

そこでお酒を飲むと、アルコールを分解しないといけないので、肝臓はアルコールの分解に注力し始めます。

そしてそのまま大量のアルコールを摂取してしまうと、肝臓の能力の限界を超えてしまいます。その結果、糖分を作る余裕がなくなってしまい、最終的に低血糖になってしまうのです。

低血糖は頭痛、倦怠感などの症状として現れます。

スポーツドリンクには糖分が含まれているものが多いです。不足した糖分を補うことで二日酔いの症状を早期に改善することができます。

どのスポーツドリンクが効果的か

しかしスポーツドリンクといっても、いろいろな種類のスポーツドリンクが発売されています。「どれを飲んだらいいの?」と思う人は多いでしょう。

よく飲まれるスポーツドリンクに以下の3つがあります

  • ポカリスエット
  • アクエリアス
  • ヴァームウォーター(VAAM)

続いて、それぞれのスポーツドリンクの特徴を示しながら、どのような違いがあるのかを説明します。

ポカリスエット

ポカリスエットの特徴は、糖分の原料である炭水化物が多く含まれていることです。

このため、水分だけでなく糖分を積極的に摂りたいときはポカリスエット が最適です。

糖分を積極的に摂りたい状況とは、具体的には、二日酔いの吐き気で食事が食べれないときなどです。

ポカリスエットには糖分が多く含まれているので、少しでも多くのエネルギーを補給するのに役立ちます。

アクエリアス

アクエリアスもポカリスエットと同様に炭水化物が含まれていますが、少し糖の量が少ないです。またポカリスエットとの違いは、アクエリアスには疲労回復の効果がある「アミノ酸」が含まれていることです。

上の写真のアルギニン、イソロイシン、バリン、ロイシンがアミノ酸です。これらのアミノ酸には体の免疫力を高めてくれて、疲労回復を促す効果があります。そのため、体力の回復を期待するときにはアクエリアスを飲むのがよいです

ヴァームウォーター(VAAM)

ヴァームウォーターはスズメバチが長距離を飛ぶときに利用するアミノ酸を多く含みます。これらのアミノ酸としては、具体的にはプロリン、グリシン、アラニン、グルタミン酸です。

そのため、ヴァームウォーターはエネルギーを生み出してくれる効果が期待できる飲み物です。テレビCMの影響もあり、運動前後に飲むものというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

ヴァームウォーター(VAAM)はポカリスエットやアクエリアスと同じように水分補給のための飲み物ですが、これらとの決定的な違いがあります。

それは、体液よりも薄いことです。体液よりも薄いものを飲むことで、体内に水分を吸収しやすくなるのです。ちなみに、ポカリスエットとアクエリアスは体液とほぼ同じ濃さです。

このときに重要な考え方に「濃度の差が大きいほど、濃度の差を小さくするために水が移動しやすい」ことがあります。

例えば、ナメクジに塩をかけるとナメクジが小さくなります。これも2種類の液体の濃度差を利用したものです。

ナメクジの表面は粘液という液体に覆われています。ここに塩をかけると、粘液に塩が溶け込み、非常に濃い食塩水が出来上がります。

一方でナメクジの体内の液はそこまで濃くないです。ここで体内と体外の液体の間に濃度差ができるので、濃度が薄い体内から濃度が濃い体外に水が移動します。その結果、ナメクジが小さく縮んでしまうのです。

ヴァームウォーターには、ポカリスエットやアクエリアスに含まれている炭水化物が含まれていません。そのため、ヴァームウォーターは体液と比べるとかなり薄いです。

二日酔いの改善という点では、ヴァームウォーターは水分補給に特化した製品といえるでしょう。特に、大量の汗をかいた場合や、二日酔いの吐き気で少量の水分しか摂取できない場合には、ヴァームウォーター を摂取するのがよいです。

スポーツドリンクはいつ飲むのがよいか

ここまでの解説で、スポーツドリンクによる二日酔いの改善効果について理解してもらえたと思います。

では、スポーツドリンクをいつ飲むのが効果的でしょうか。これには寝る前、翌日の朝、どちらでも効果があります

人は寝ている間に大量の汗を書きます。その量は500mL〜1Lといわれており、朝起きたときは完全に脱水状態です。

そしてアルコールの分解には水分が必要になります。寝る前に水分を摂ることでアルコールの分解に必要な水分を補いつつ、汗をかくことによる脱水も予防することができます。

また朝起きたとき、スポーツドリンクを飲むことも効果的です。

前述の通り、朝起きたときの体は脱水状態です。また、肝臓はアルコールの分解を一生懸命行なっているので、糖分の生成が不足しています。

飲んだ次の日に、失われた水分と不足している糖分を補給することは、二日酔いの症状改善に効果的です。

二日酔いでスポーツドリンクを飲むときの注意点

スポーツドリンクは水分、糖分を補給するのに適した飲み物です。自動販売機などで手軽に購入できますし、医薬品ではないので誰が飲んでも基本的に問題はありません。

しかし、何も考えずに飲んでいると大変なことが起きることがあります。具体的には、以下のことに気をつけなければいけません。

  • 血糖値の上昇
  • 少しずつ分けて飲む

それぞれについて、詳しく確認していきます。

血糖値の上昇

スポーツドリンクには糖分が含まれます。そのため、たくさん飲みすぎると血糖値が上がりすぎて高血糖になる可能性があります。この状態はペットボトル症候群とも呼ばれています。

特に糖尿病の人は注意が必要です。血糖値が高めと言われたことがある人も気をつけたほうがいいでしょう。

血糖値を下げるためにインスリンという分泌物が働きますが、糖尿病の人はインスリンが効きにくくなっていることがあります。つまり、血糖値が下がりにくい状態になっているのです。

糖尿病の人がスポーツドリンクを飲み続けると、血糖値が上昇し、その後に下がらない恐れがあります。血糖値が高い状態が続くと、最悪の場合、糖尿病の合併症(失明、末梢神経症状、腎機能の低下)が起きてしまいます。

このように、糖尿病の人は糖分の過剰摂取には注意が必要です

少しずつ分けて飲む

また、少しずつ分けて飲むことも意識しましょう。これは単純に「勢いよく飲むと気持ち悪くなる」ためです。

二日酔いのとき、脱水が原因で吐き気に襲われていることが多いです。このときに一気に水分を摂取すると、吐き気が増してしまいます。

これはスポーツドリンクを飲むときに限った話ではありません。他の飲み物で水分補給をするとしても、少しずつ飲む必要があります。せっかく水分を摂っても吐くと意味がないです。

また、これは個人的な意見ですが、スポーツドリンクと水を交互に飲むと飲みやすいです。なぜなら、糖分がしっかり含まれているスポーツドリンクは甘すぎるからです。

私はスポーツドリンクを飲んでそのままにしておくと、口の中にねっとりとした状態が残り、気持ち悪くなってしまいます。そこで私は水を少し飲んで、口の中のスポーツドリンクを洗い流すようにしています。

スポーツドリンクは二日酔いの改善には逆効果?

これまで説明してきたように、スポーツドリンクは二日酔いの症状を改善させるのに効果的な飲み物です。

しかし、「二日酔いのときにスポーツドリンクを飲んだらダメ」という話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

ちなみに、私は学生時代にこの話は何度も聞きました。私は飲み会があるたびに酔いつぶれていましたが、翌日友人に会うと「二日酔いでスポーツドリンクを飲んだら、アルコールが吸収されやすくなるから逆効果だ」と脅され、昔は極力スポーツドリンクを避けるようにしていました。

この話は真実なのでしょうか。二日酔いにスポーツドリンクはダメであり、一緒に飲むことで吐くようになるのでしょうか。

ちなみにポカリスエットを発売している大塚製薬のホームページによると、「アルコールの吸収を速くするといった報告はありません」と載っています。

つまり、ポカリスエットを飲んでも二日酔いの症状が悪化することはとありません。むしろお酒を飲んだ後の水分補給に適しています

実際、私も現在では二日酔いのときにスポーツドリンクを飲むことがあります。ただ、少しずつ飲めば吐き気が悪化することはないですし、もちろん酔いが回ることもありません。

やはり二日酔いのとき、スポーツドリンクを飲むのは症状の改善に効果的といえるでしょう。

まとめ

ここではスポーツドリンクが二日酔いの改善に効果があることを確認してきました。

二日酔いのとき、体は脱水状態です。スポーツドリンクを飲むことで水分補給ができ、脱水が原因の吐き気などの症状の改善の助けになります。

また、糖分も不足している状態なので、糖分の補充のためにもスポーツドリンクを飲むことは効果的です。

スポーツドリンクには様々な種類のものが発売されています。それぞれ特徴があるので、症状によって使い分けができます。

スポーツドリンクに二日酔いの改善効果があるとはいえ、飲み方を間違えると吐き気が強くなったり、持病(糖尿病など)が悪化したりすることがあることがあります。二日酔いのときに水分と糖分を補給することは非常に大切ですが、飲み方には注意しましょう。