お茶は昔から日本人に親しまれている飲み物です。私も家ではミネラル麦茶のパックでお茶を作っており、食事のときに飲んだり、水筒に入れて職場に持って行ったりしています。
私の祖父はお茶を点てるための道具を買い揃え、抹茶や煎茶などを自分で作っていました。施設に入所したときもそれらの道具を持ち込み、お茶は自分で準備していました。
お茶には体によい成分がたくさん含まれているので、日頃から飲んでいる人は多いと思います。そして、お茶に含まれる成分には二日酔いに効果があるものもたくさんあります。
ここではお茶に含まれる二日酔いに効果を示す成分、お茶ごとに含まれる成分の違い、お茶を飲むときの注意点について説明していきます。
もくじ
お茶には二日酔いに効果がある成分が含まれている
お茶とは「茶葉から成分を抽出して作られたもの」です。茶葉以外から抽出したものは茶外茶とも呼ばれています。その中にはハーブティーや麦茶などが含まれますが、ここでは細かい分類は重要ではないので、茶外茶もお茶と呼ぶこととします。
お茶は種類によって味、色、香り、原料は違っており、含まれる成分も異なっています。
まずは、お茶に含まれる様々な成分の中で、二日酔いの改善に効果がある成分について解説していきます。
カフェイン
カフェインはお茶に含まれる成分の中で最も有名なものの1つです。他にもコーヒーや風邪薬にも含まれており、身近な物質だと思います。
カフェインには尿の量を増やす作用(利尿作用)が知られています。特にコーヒーを飲むとトイレの回数が増える人は多いと思います。これはカフェインに利尿作用があるからです。
カフェインを摂ると尿の量が増えて、二日酔いの原因物質のアセトアルデヒドの尿中への排泄が促進されます。その結果、二日酔いの症状改善を促します。
また、カフェインには二日酔いのときの頭痛を軽減する効果もあります。この効果はカフェインの血管を収縮する作用によるものです。
アセトアルデヒドには血管を拡張する作用があります。広がった血管が周囲の神経を圧迫することで頭痛が起きています。カフェインは血管を収縮することでこの痛みを除去することができます。
さらに、カフェインには血液中のブドウ糖の量を増やす効果が報告されています。アセトアルデヒドの分解にはエネルギーを消費します。そのエネルギー源はブドウ糖です。ブドウ糖が増えると覚醒、集中力が上昇するので、二日酔いの症状も改善します。
このようにカフェインは多岐に渡る効果があり、二日酔いの改善に効果的な成分です。
ビタミンC
ビタミンCもお茶に限らず、果物、野菜にも豊富に含まれる物質です。
ビタミンCはアルコールやアセトアルデヒド の分解で消費されます。お酒を飲んだ翌日はビタミンCが不足している状態になっているので、ビタミンCを補う必要があります。
また、アルコールやアセトアルデヒドの分解は肝臓で行われます。そこで、肝臓に負担がかかり続けると体にとって有害な活性酸素が溜まっていきます。活性酸素の増加は、最終的に肝機能の悪化に繋がります。
ビタミンCには体にとって有害な活性酸素を分解する作用(これを抗酸化作用という)があります。抗酸化作用により肝臓の機能が低下するのを防ぐことができます。肝機能が正常であれば、アルコールやアセトアルデヒドの分解もスムーズに行うことができます。
このようにビタミンCはアルコールの分解や肝臓の機能回復に関わる成分です。
タンニン、カテキン
タンニンは渋みに関わる物質であり、お茶以外には柿などに含まれています。
お茶に含まれるタンニンのうち約90%はカテキンと呼ばれる物質です。カテキンには複数の種類が知られているのでカテキン類とも呼ばれます。ここではまとめてタンニンとして説明します。
タンニンにはアセトアルデヒドと結合して体外に排泄させる効果があります。
また、タンニンには口臭を改善する効果も知られています。お酒を飲んだ翌日は何とも言えない独特の口臭がします。タンニン(カテキン類)が含まれているガムも発売されており、タンニンは口臭の改善に使用されています。
このようにタンニン(カテキン)は二日酔いのさまざまな症状の改善に効果を示します。
その他
ここまで紹介してきた以外にも、お茶には二日酔いに有効な成分が含まれています。
カリウムは尿量を増やす作用(利尿作用)があり、アセトアルデヒド の排泄を促進します。また、サポニンにも同じく利尿作用があります。さらにサポニンには、肝臓の機能を改善する作用も知られています。
このようにお茶には二日酔いに効果を示す成分が多く含まれています。
お茶にはたくさんの種類がある
お茶を買うときにどれを買うか悩むくらい種類があります。具体的には以下のような種類が知られています。
- 緑茶(ほうじ茶など)
- 紅茶
- 黒茶(プーアル茶など)
- 茶葉を使用しないもの(麦茶やペパーミントティーなど)
これらの違いは1)原料に茶葉を使用するか、2)茶葉をどのくらい発酵させているか、3)茶葉の発酵方法です。
緑茶、紅茶、黒茶の原料は茶葉で共通なので、含まれる成分の種類は似ています。どのお茶にも、先ほど説明したカフェイン、ビタミンC、タンニンなどが含まれます。
一方で、茶葉を使用しないお茶は含まれる成分が異なっています。
まず、麦茶にはほとんどの場合でカフェインとタンニンが含まれていません。ルイボスティーやペパーミントティーなどのハーブティーは、用いるハーブによって効能や成分が変わってきます。また、モリンガ茶のような植物の葉を使用しているものには、その植物に特徴的な成分が含まれるようになります。
お茶を飲むときの注意点
お茶には二日酔いに効果的な成分が複数含まれており、二日酔いの対策に有効であることを説明してきました。お茶はコンビニや自動販売機でも購入できるので、お酒を飲んだ後に手軽に飲むことができます。
しかし、お茶は飲み方によっては二日酔いがさらに悪化してしまう可能性もあります。逆に飲み方を工夫すれば効果が増すこともあります。
続いて、お茶を飲むときの注意点について説明します。
カフェインによる脱水に注意
お茶にはカフェインが含まれていることはすでに説明しました。
ただ、緑茶の中にはコーヒー以上にカフェインが含まれているものもあります。カフェインが多量に含まれている場合に、注意しなければならないのが脱水です。
カフェインには尿量を増やす作用(利尿作用)があり、アセトアルデヒドの排泄を促します。しかしそれと同時に体の水分も減るので脱水になる可能性があります。
お茶のなかでも、ほうじ茶、ウーロン茶、玄米茶などはカフェインの量が少ないといわれています。また、ノンカフェインのお茶も発売されています。
種類 |
100gに含まれる |
抽出条件 |
玉露 | 160 | 茶10g/60℃,60mL,2.5分 |
コーヒー | 60 | コーヒー粉末10g/熱湯150mL |
紅茶 | 30 | 茶5g/熱湯,360mL,1.5〜4分 |
煎茶 | 20 | 茶10g/90℃,430mL,1分 |
ほうじ茶 | 20 | 茶15g/90℃,650mL,0.5分 |
ウーロン茶 | 20 | 茶15g/90℃,650mL,0.5分 |
玄米茶 | 10 | 茶15g/90℃,650mL,0.5分 |
引用:日本食品標準成分表2015年版(七訂)より抜粋
夜に飲むのであれば睡眠を確保するためにも、カフェインが少ないものを飲むほうがよいでしょう。
朝飲むのであればカフェインが含まれている方が二日酔いの改善には効果があるでしょう。ただし、カフェインによる脱水を予防するために、お茶以外にもスポーツドリンクなどの飲み物を追加で飲むようにしましょう。
温度
茶葉からお茶を作るときは、熱いお茶のほうがカフェインの含量が多いです。なぜなら熱いお湯の方がより多くのカフェインが抽出されるからです。したがって、温度が高い方が二日酔いの改善効果は高いです。
また、コンビニやスーパーでペットボトルに入ったお茶を購入して飲む場合でも、熱い方が二日酔いの改善には若干効果があります。その理由は熱い方がカフェインの吸収がよいからです。
しかし、私はお茶は基本的には冷たいものを飲むようにしています。たとえ真冬でもホットのお茶を買うことはありません。その理由は、暑がりなのと管理が楽だからです。
熱いお茶を飲むと少し時間が経つと汗が吹き出してきます。汗を大量にかくことによる不快感がストレスになるので、必要以上に体が熱くならないようにしています。
また、熱いお茶を買うと、早めに飲まないと冷めてしまいます。熱湯を使って茶葉から作ったものは、冷えると美味しくなくなってしまうものもあります。それであれば最初から冷たいお茶やアイスティーを買ったほうがよいと思っています。
そして、二日酔いのときは吐き気に襲われていることが多いです。個人的には、気持ち悪いときは冷たいお茶の方が飲みやすいです。一気に飲んでしまうと吐く可能性があるので、冷たいお茶を少しずつ飲むようにしています。
梅干しを混ぜると効果アップ
梅干しは昔から「1日1粒で医者いらず」といわれるように、健康によい栄養分が含まれています。そのなかの1つにクエン酸があります。
クエン酸は夏バテにも効果を示す栄養分です。疲労回復の効果があるので、二日酔いの朝には適しています。
しかし、個人的には梅干しをそのまま食べるのは好きではありません。弁当に入っていても残してしまうことがあります。
特に私のように梅干しが苦手な人には、お茶に入れる方法がオススメです。梅干しを直接口に入れるのと比べると、酸っぱさはかなり軽減されます。
作り方は難しくありません。梅干しの種を取ったものと熱いお茶を混ぜて、箸で梅肉を潰したら完成です。下の写真は麦茶と梅干し1個を混ぜたものです。
味はほぼ麦茶で、梅干しの酸っぱさは少ししか感じません。梅干しが苦手な私でも気にせずに飲むことができます。
このようにお茶に梅干しを追加することで、より早く二日酔いの症状を軽減させることが期待できます。
甘い菓子を一緒に食べるとよい
お茶に合う食べ物を想像したときに、甘いあんこが入ったお菓子を思い浮かべる人は多いと思います。実は、二日酔いの対策にあんこは効果があります。
あんこにはお茶と同様にサポニンとカリウムが含まれます。これらの成分は利尿作用があるので、アセトアルデヒドの排泄を促進する作用があります。
あんこのお菓子を食べながらお茶を飲むことは、日本人にとって特別なことではないはずです。
このように昔ながらのお茶の飲み方に二日酔いの改善効果があるので、一度試してみてはいかがでしょうか。
お酒をお茶で割るのも効果的
ここまでお茶を飲むことで二日酔いの症状の改善効果について説明してきました。ところが、お茶の効果は二日酔いになったときだけに発揮されるわけではありません。実はお酒を飲んでいるときにお茶を飲むことも二日酔いの予防に効果があるのです。
焼酎、ウイスキーなどを割る場合、何で割っているでしょうか。水、炭酸水、ソーダ、コーラなどがありますが、炭酸飲料で割る人は多いと思います。実は炭酸飲料はアルコールの吸収を増加させてしまうのです。
マンチェスター大学の研究で、「ウォッカのストレート」「ウォッカの水割り」「ウォッカの炭酸割り」を飲んだ場合を比較したところ、ウォッカの炭酸割りを飲んだ時がアルコールの吸収速度が最も高いという結果が出ています。
引用:J.Forensic Leg.Med. 2007,14,398を改変
このように炭酸飲料で割るとアルコールが吸収されやすくなります。
そこで、炭酸飲料で割るのではなく水やお茶で割ることで、アルコールの吸収を緩やかにすることができます。同時に、お茶に含まれる二日酔いの防止に効果的な成分も摂取することもできます。
下は麦焼酎と緑茶を1:1で混ぜた緑茶ハイです。麦焼酎独特の臭みが抑えられており、個人的には水割りよりも緑茶割りの方が飲みやすいです。
他にも、麦焼酎を午後の紅茶のストレートティーで割ったときは、紅茶の風味があり、水割りより飲みやすかったです。また、麦焼酎を午後の紅茶のレモンティーで割ったときは、麦焼酎の味はほぼ感じず、甘くて飲み過ぎてしまいそうでした。
このようにお酒とお茶の組み合わせはいくらでもあるので、色々試してみるのも楽しいと思います。
もちろんお茶が二日酔いに予防に効果があるとはいえ、お茶割りを大量に飲むと二日酔いになります。あくまで飲む量はほどほどにしておきましょう。
まとめ
お茶が二日酔いの症状の改善に効果があることについて解説してきました。お茶には多くの成分が含まれており、その中に二日酔いに効果的な成分もたくさん含まれています。
お茶の種類によって二日酔いの改善効果も異なっており、飲み方を工夫することで効果を増強させることができます。
また、お酒を飲むときにお茶を飲むことで二日酔いの予防ができます。そしてお酒をお茶で割ると、お酒自体の臭みが少なくなって飲みやすくなるのでおすすめです。