二日酔いはお酒を飲む人にとっては何とかして回避したい問題です。私を含め、どうにかして二日酔いにならないようにしようとしている人はたくさんいます。

そのような人たちと話をしていると「〇〇を飲むと二日酔いが早く改善する」「お酒を飲む前に〇〇をすると二日酔いになりにくい」という話題になることがあります。

あなたは、そのような会話の中で、ツボが話題になることはあるでしょうか。私は薬剤師として働いており、周囲にも医療従事者が多いです。しかし、「このツボを押すと二日酔いに効く」という話題になったことは一度もありません。

ここでは、「二日酔いの症状の予防や改善に効果的なツボ」「ツボをどのように刺激するのがよいか」「実際にツボを刺激してみた結果」について説明します。

二日酔いの症状改善に関わるツボはたくさんある

二日酔いは、お酒を飲みすぎたときになります。その症状は吐き気、頭痛、倦怠感、むくみ、めまいなど、いろいろあります。

そして、どの症状が現れるかは、個人差があります。私は吐き気と倦怠感に襲われることが多いです。逆に、頭痛が起きることはほとんどありません。起きるとすれば、記憶がなくなるほどの量のお酒を飲んだときくらいです。

私の友人には、毎回頭痛に襲われる人もいれば、めまいが起きる人もいます。このように、症状の現れ方には個人差があります。

もちろん、「このツボを刺激するとすべての症状が改善する」というわけではありません。しかし、二日酔いのそれぞれの症状に対して効果的なツボはあります

まずは、効果があるとされているツボの場所について、対象となる症状ごとに紹介します。

吐き気の改善に効果的なツボ

吐き気や胸焼けは二日酔いの代表的な症状です。ひどい二日酔いのときは、朝でも嘔吐をしてしまうこともあります。

・内関(ないかん)

内関は手首の近くのツボです。手首から人差し指、中指、薬指の3本分ひじ側のツボです。イメージとしては、腕時計をしたときのバンドの位置です。

内関は腕にあるので、朝起きて横になっている状態でも簡単に押すことができます。

・合谷(ごうこく)

親指の付け根と人差し指の付け根の間です。

合谷も内関と同じように、横になっている状態でも押すことができるので、二日酔いのときでも押しやすいツボです。

頭痛の改善に効果的なツボ

お酒を飲んだあとに襲ってくるアルコール頭痛や、二日酔いのときの頭痛は、頭が割れるのではと感じることもあります。

・百会(ひゃくえ)

百会は頭のてっぺんにあるツボです。両方の耳を結んだ頭頂部です。

手を挙げなければならないので、特に二日酔いのときは、ずっと刺激をし続けるのは少し苦労します。

肝臓の機能を高めてくれるツボ

お酒に含まれるアルコールは体の中に吸収されると、肝臓で分解されます。アルコールは分解されると、二日酔いの原因物質の1つであるアセトアルデヒドになります。

アセトアルデヒドも肝臓で分解されることで、体にとって無害な酢酸に変わります。

アセトアルデヒドが体の中に溜まると、吐き気、頭痛などの二日酔いの症状が現れます。したがって、肝臓の機能を高めることで、アルコールやアセトアルデヒドの分解を助けることになるので、二日酔いの予防や改善に効果的です。

このようなことから、肝臓の機能を高めてくれるツボは、二日酔いの予防や改善に効果的と考えられます。

・期門(きもん)

乳首の真下で、肋骨に当たる場所にあるツボです。このツボは胴体の胸側にあるので、両側の期門をそれぞれの手で押すこともできます。

・太衝(たいしょう)

足の親指と人差し指の骨の間にくぼみがあります。このくぼみにあるツボが太衝です。

・築賓(ちくひん)

ふくらはぎの内側にあるツボです。具体的には、上の図で示しているように、くるぶしと膝の間を三等分して、下から1/3のあたりです。

・肝兪(かんゆ)

背中にあるツボです。この場所は肝臓のほぼ裏になるので、刺激することで肝臓に効果があることがイメージしやすいと思います。

しかし、肝兪は背中にあるので、自分で押すことはできません。周りの人や家族に押してもらうしかないです。

むくみを改善してくれるツボ

二日酔いの朝は、顔や手足がむくんでいることが多いです。このような症状を改善する代表的なツボが以下の2つです。

・腎兪(じんゆ)

肝兪と一緒で、背中にあるツボです。自分では押せないので、他者の協力が必要になります。

・湧泉(ゆうせん)

足裏のツボです。二日酔いのときに自分の指で押すのは大変かもしれません。

下痢を改善してくれるツボ

二日酔いのときは、前日にお酒を飲みすぎた影響や、胃腸が弱っていることによる消化不良が起きやすくなっているため、下痢になりやすいです。

・大腸兪(だいちょうゆ)

肝兪や腎兪と同様に、背中にあるツボです。

・三陰交(さんいんこう)

くるぶしから指4本分(親指以外の4本)上にあるツボです。

倦怠感を改善してくれるツボ

二日酔いで朝起きたときは、体がだるいです。起き上がろうとしてもなかなか布団から出られないことも多いと思います。

・足三里(あしさんり)

足三里は場所の説明がしにくいツボです。膝の皿の斜め下あたりにあります。このツボも足にあるので、二日酔いのときに押すのは少ししんどいです。

また、アルコールを飲むと、睡眠の質が下がり、夜中に何度も目が覚めたり、朝早く目が覚めたりしやすくなります。その結果、お酒を飲んだ翌日は寝不足になりやすいです。

寝不足による倦怠感や、日中の眠気に対して効果があるツボが以下のツボです。

・心兪(しんゆ)

肝兪、腎兪、大腸兪と同じく、背中にあるツボです。

めまいを改善してくれるツボ

二日酔いのときは、めまいがして起き上がれなかったり、立ち上がったときにフラフラしたりすることがあります。

・百会(ひゃくえ)

百会は頭痛にも効果的なツボです。

ツボを押すことで二日酔いは予防、軽減できるのか

ここまで、二日酔いのそれぞれの症状に対して効果があるツボについて紹介しました。

なお、ツボは全身に600箇所以上あります。ここでは紹介していないものでも、二日酔いの症状の改善効果があるツボはたくさんあります。

では、これらを刺激すると本当に二日酔いが予防できたり、症状が改善したりするのでしょうか。結論を言うと、「ツボを刺激することで、二日酔いの予防、改善はできる」になります。

私の知り合いの鍼灸師に話を聞くと、以下のような話をしてくれました。

お灸や鍼をすることで、二日酔いの予防効果や改善効果はあります。実際に、鍼灸院に通院している人のなかには、二日酔いの対策として鍼を打ってもらう人もいます。

しかし、確かに効果はありますが、当然ツボを刺激することですべてが解決するわけではないです。ツボを刺激すると一瞬で二日酔いの症状を治すわけではありませんし、二日酔いを完全に防止できるわけではありません

ツボは最近になって発見されたものではありません。ツボを刺激することによる治療は1,000年以上も前から行われており、お灸や鍼を扱う鍼灸師は国家資格として認められています。

ツボを刺激することで、二日酔いの予防および改善効果を期待できます。

ツボを刺激する方法は、お灸、鍼、指の3種類がある

お灸や鍼は、ツボを刺激するための手段です。鍼灸師はこれらの方法でツボを刺激して患者さんを治療しています。実際に肩こりや首周りの張りに対して、お灸や鍼治療を受けたことがある人もいると思います。

お灸はドラッグストアでも道具が売られており、鍼も極小の鍼を皮膚に貼り付けるような商品が市販で売られています。

下の写真の左側はお灸の道具、右側は鍼です。これらを使えば、鍼灸院に行かなくても、自宅で同じような治療をすることは可能です。

二日酔いの予防や改善のためにわざわざ鍼灸院に行くのは、個人的にはかなり面倒に感じます。特に二日酔いのときは、しんどすぎてそこまでできません。

また、先ほど紹介したように、自宅でも同じようなことはできますが、必要なものを買ったり、実際にやるときに準備をしたりするのも二日酔いのときは気が進みません。

このようなことから、実際に行うとすれば、自分または他人の指でツボを押すことが最も簡単にできる方法だと考えます。

ツボを指で押す方法

特に二日酔いのときは、指でツボを押すのが最も簡単です。では、実際にどのようにして押すのがよいでしょうか。

基本的には親指で押すのが最も力が入ります。親指で押しにくい場合は、人差し指と中指で押すとよいです

そして、ずっと強く押さえ続けるのではなく、マッサージをするように、押さえて、少し緩めて、押さえてを繰り返します

実際にツボを刺激してみた効果

最後に、実際に私が自分の指でツボを押してみた効果について紹介します。

なお、私は特に吐き気と倦怠感に襲われることが多いので、内関(吐き気に関わる)、合谷(吐き気に関わる)、築賓(肝臓の機能に関わる)、足三里(倦怠感に関わる)を試してみました。

私はこれらのツボをお酒を飲む直前と、翌日の朝起きた直後にそれぞれ5分ずつ押しました。ツボを押すタイミングや時間については、根拠はありませんが、私が設定しました。

その結果は、「多少二日酔いが軽減できて、症状の改善も早い」という結果でした。ある程度の二日酔いになるくらいのお酒をあえて飲みましたが、実際の二日酔いの程度は、予想よりも軽かったです。

当たり前の話ですが、ツボを押すと二日酔いの予防ができたり、症状を改善させたりできますが、完全なものではありません。全く二日酔いにならなくなったり、症状が完全になくなったりするわけではないです。

また、ちょっと押すとすぐに効果が現れるような即効性が期待できるわけではありません。では、どのくらいの時間押せばよいかと言っても、「◯分押せば効果が出る」というものでもありません。

先ほど紹介したツボは確かにすべて効果があると言われています。では実際にすべてのツボを押すことができるかというと、なかなか難しいこともあります。

例えば、二日酔いで朝起きたときに太衝(足の甲のツボ)を押すことはできますか? 私は二日酔いで目が覚めたときは気持ち悪いので、このようなツボを押すような体勢をとるのはしんどかったです。

また、二日酔いになるほどお酒を飲むのは、休日の前が多いのではないでしょうか。休日の朝に二日酔いだった場合、私は布団から出ることがなかなかできません。昼くらいまでゴロゴロしていることもあります。

そのようなときは「足のツボを押すとよい」とわかっていても、しんどいので押さないのではないでしょうか。

そして、二日酔いのときに鍼灸院に行くのはもっとしんどいです。お灸は自宅でもできますが、私であれば準備をするのも面倒と感じてしまいます。

ツボを刺激することは自宅でも簡単にできます。その効果はあるものの、全てを解決してくれる魔法の薬のようなものではないことを知っておく必要があります。

まとめ

ここでは、「二日酔いの症状の予防や改善に効果的なツボ」「ツボをどのように刺激するのがよいか」「実際にツボを刺激してみた結果」について説明しました。

二日酔いに効果があるツボはたくさんあります。実際に私も刺激してみたところ、多少の二日酔いの予防と改善の効果がありました。

もちろん、ツボは万能の治療法ではありません。ある一定量以上のお酒を飲むと二日酔いにはなります。

二日酔いを予防、改善する方法はたくさんあります。二日酔い対策のサプリメントはたくさん売られています。また、水分を補給することでも二日酔いの症状は改善します。そして、吐き気止めや頭痛薬を飲む人もいます。

ツボを刺激することもこれらと一緒に実践することで、二日酔いを予防したり、改善を早めたりすることができます。