梅干しは昔から「1日1粒で医者いらず」とも言われています。毎日朝食で食べている人もいると思います。私の家内は梅干しが好きなので、ほぼ毎日食べています。

その一方で、私は梅干しが苦手です。理由はすっぱいので、唾液が多く分泌されるのが感覚的に嫌だからです。弁当に入っていても残すことが多いです。

しかし、梅干しには多くの栄養分が含まれています。そのなかには、二日酔いのときに失われている成分や、二日酔いの改善に効果があるものもあります。

そこでここでは、「梅干しは二日酔いの予防や改善に効果的か」「梅干しを食べるときの注意点」「梅干しを手軽に食べるための方法」について説明します。

梅干しに含まれる二日酔いの予防や改善に有効な成分

梅干しは昔から健康によいと言われており、日本人に親しまれてきた食材です。種類もいろいろとあり、シソ梅、はちみつに漬けたはちみつ梅、鰹節が入ったカツオ梅、カリカリした食感のカリカリ梅などが売られています。

そして、梅干しには多くの種類の成分が含まれていますが、そのなかには、二日酔いのときに補充しなければならない成分や、二日酔いの改善に効果がある成分があります。

まずは、具体的にどのような成分が二日酔いの改善に効果を示すのかについて解説します。

クエン酸

クエン酸は、疲労を除去してくれる成分として認識している人も多いと思います。梅干しのほかにも、レモンなどに含まれており、下の写真のようなクエン酸のサプリメントも売られています。疲労回復の効能を期待して、定期的に摂取している人もいるのではないでしょうか。

クエン酸は体内では、エネルギーを生み出す原料として使用されます。この原料を追加することで、生み出されるエネルギー量が増えます。その結果、疲労物質の分解が進み、倦怠感などが軽減すると言われています。

このように、疲労回復物質として知られるクエン酸ですが、実はその疲労回復の効果については意見が分かれています

国の研究機関の国立健康・栄養研究所は、「ヒトでの有効性については、信頼できる十分なデータが見当たらない」とホームページで発表しています。

しかし実際に、クエン酸が含まれる梅干しやレモンを食べることで、疲労が回復したと感じたこともある人もいるでしょう。私も夏場の暑いときにレモン入りの飲み物を飲んだり、クエン酸入りの飴をなめたりすることで、体が元気になった経験を何度もしています。

このように、クエン酸の効果については意見が別れています。

塩分

お酒を飲むとトイレに行く回数が増える人が多いと思います。これは、アルコールに尿の量を増やす利尿作用があるためです。

そして、尿の量が増えると、体の中の塩分も一緒に失われてしまいます。

汗が口に入ったときに、しょっぱいと感じたことはあると思います。また、大量に汗をかいた人の服が少し白くなっているのを見たことがあるかもしれません。これらは、汗と共に塩分が排泄されているためです。

尿にも汗と同じことが当てはまります。尿が排泄されるときに、一緒に塩分が排泄されます。そのため、二日酔いで脱水状態のときは、塩分も不足しています

梅干しには多くの塩分が含まれていることを知っている人は多いと思います。最近では、塩分少なめの梅干しも発売されていますが、それでも塩分は含まれています。下に、梅干しの成分表を載せています。

この製品の梅干し1個の重さ(可食部)は約13gです。この成分表から計算すると、梅干し1個に塩分相当量で約1.0g含まれることになります。このように、梅干し1個だけでも塩分が多少摂取できることがわかると思います。

そのほかの栄養素

ここまで紹介した以外にも、梅干しにはアルコール分解に関わる多くの栄養分が含まれています。梅干しに含まれるビタミンB1やビタミンCは、アルコールや、アルコールが分解してできるアセトアルデヒドの分解で消費される栄養素です

いずれも含まれている量は多くはありませんが、アルコールやアセトアルデヒドの分解を助けてくれる成分です。したがって、梅干しを食べることで、これらの栄養分を摂取することができ、少しでも二日酔いの症状の改善につながります。

ピクリン酸の肝機能の改善効果は根拠がない?

インターネットや栄養学の本を見ていると、下の写真のように「ピクリン酸は肝臓の機能を回復させる」という記載を多く見かけます。しかし、この内容はかなり怪しいです。

引用:今すぐできる!肝機能を上げる40のルール

下の写真は、ピクリン酸の情報がくわしく載っているMSDSと呼ばれる資料です。MSDSは、化学物質のメーカーがその物質の情報を提供するためのものです。

この資料で示されているように、ピクリン酸を摂取すると、むしろ肝機能障害が起きる可能性が高いです

国立健康・栄養研究所にピクリン酸の肝機能への影響について問い合わせたところ、以下のようなお返事をいただきました。

なお、梅干しに含まれるピクリン酸の量は微量と言われています。正確なピクリン酸の含有量はわかりませんが、梅干しを食べすぎたことによってピクリン酸が原因で肝機能が低下するとは考えにくいです。

いずれにしても、ピクリン酸の肝機能の改善効果はないと思った方がよいでしょう

梅干しは二日酔いの予防や改善ができる食べ物か

ここまで梅干しには、飲酒によって失われた成分が含まれていたり、アルコールやアセトアルデヒドの分解に関わる成分が含まれたりしていることを説明しました。

では、梅干しを食べることで、二日酔いを予防したり、治したりする効果はあるのでしょうか。

実際に、お酒を飲んで寝る前に梅干しを食べる、または、二日酔いの朝に梅干しを食べることを試してみました。結果的には、二日酔いの防止と改善の効果はほとんど感じませんでした。

吐き気が若干軽くなったような気はしましたが、梅干しを吐き気止めとして食べるには物足りないと感じました。また、倦怠感は梅干しを食べないときと同じでしたし、頭痛も同様に残っていました。

しかし私は、ご飯や水分の摂取はしないで、梅干しだけを摂取したときの効果を検証しました。多くの場合は、お酒を飲むときに何かしらおつまみを食べると思います。また、二日酔いの朝も、梅干しだけではなく、水分を摂取したり、ご飯を食べたりすると思います。

そして、効果があるとしても、寝る前や朝起きたときに梅干しを何個も食べるのは現実的ではないでしょう。

このようなことから、梅干しだけの効果を期待するのではなく、ご飯と一緒に食べることで、不足している栄養分を補う目的で摂取するのがよいでしょう

梅干しは、お酒を飲むことで失われる成分を補ったり、二日酔いのときに失われている成分を補ったりするのに効果的であることは間違いありません。

例えば、お酒を飲むときであれば、焼酎に梅干しを入れることで簡単に摂取することができます。朝であれば、ご飯や消化にいいうどんに入れることで、梅干しを手軽に摂取できます。このように、栄養補給の補助として梅干しを食べるのが効果的です。

梅干しを食べるときに注意すべきこと

梅干しには塩分が多く含まれています。塩分が少ない梅干しも売られていますが、基本的には梅干しに含まれる塩分は多いです。

二日酔いのときは塩分が失われているので、塩分を補う必要があります。しかし、過剰に摂取しすぎると別の問題が発生します。それは高血圧です。

高血圧で病院に通院している人の中には「塩分は控えめにして下さい」と栄養指導を受けたことがある人もいると思います。

日本人の塩分摂取量は多いと言われています。厚生労働省が定める1日の塩分摂取量の目標値は、男性が8g未満、女性が7g未満です。しかし、実際は10gくらい摂取していると言われています。

梅干しには塩分やビタミンB1、ビタミンCなどが含まれているので、二日酔いのときは摂取した方がよいです。しかし同時に、塩分量が多いことを把握しておく必要があります。特に高血圧の治療を受けている人は、梅干しを毎日食べるのは避けたほうがよいでしょう。

梅干しを手軽に食べることができるレシピ

梅干しには二日酔いのときに補う必要がある成分が含まれています。しかし、実際に食べるときは、梅干しだけをそのまま食べることは少ないのではないでしょうか。

私はそのまま梅干しだけを食べると、かなりすっぱく感じるので、大量に唾液が分泌されて、すごく辛い気持ちになります。

そして私は、料理が全くできません。カップ麺にお湯を入れるくらいはできますが、少しでも手がかかることはやりたくないです。

この点においては、梅干しは料理に混ぜるだけで食べることができるので、手軽に食べることができる食材と言えると思います。梅干しをほかのものと一緒に食べることで、すっぱさも軽減されます。

また、二日酔いのときは体がしんどいので、料理をする気にはなかなかなりません。

インターネットで調べると、梅干しを使ったレシピがたくさん載っています。ここでは、私のような人でも手軽に梅干しを食べるための方法について紹介します。

白米と梅干しを組み合わせる

ご飯と梅干しの組み合わせは弁当などでよくみると思います。もちろん、白米の上に梅干しをそのまま乗せても大丈夫です。

しかし、二日酔いのときは白米を食べるのはしんどいことも多いと思います。そこで、同じ白米でも、おかゆ、お茶漬け、雑炊などに梅干しを乗せることで、かなり食べやすくなります。

しかも、いずれもすべて自分で作らなくても、インスタントの商品が売られています。下に、インスタントのおかゆの写真を載せています。

この商品にはあらかじめ梅干しが入っており、梅干しを購入する必要もありません。

お茶漬けや雑炊もインスタントの商品が売られており、ほとんど手間をかけずに準備することができます。梅干しを乗せるだけで、梅茶漬けや梅雑炊が簡単に出来上がります。

また、私の場合、おにぎりの具材として梅干しを入れることがあります。梅干しおにぎりを食べるのは、家ではなく職場に持って行くときです。

二日酔いで気持ち悪いときや嘔吐をしているときは、なかなか食欲がわきません。そこで、梅干しが入った梅おにぎりを職場に持って行くことで、調子がよくなってきたときに食べることができます。

お茶に梅干しを入れる(梅茶)

食事ではありませんが、お茶に梅干しを入れることもできます。個人的には、白米に乗せるよりもお茶に混ぜるほうがよいです。その理由は、お茶に混ぜたときの方が、食べたときの唾液の急激な分泌が抑えられるためです。

お茶の中で潰したあとの果肉を食べても、そこまで唾液は分泌されません。これは、梅干しをお茶に混ぜて潰すことで、すっぱさの原因となる物質がお茶によって薄まることが関係していると思われます。

お茶の種類は、正直何でもいけます。烏龍茶、緑茶、番茶など、どのお茶と混ぜても美味しいです。梅干しに合うお茶はどれだろうと意識しなくても、基本的には美味しく飲むことができると思います。

作り方も簡単で、ただお茶と梅干しを混ぜて、梅干しをスプーンなどで潰せば完了です。下に、実際に麦茶と梅干しを混ぜたものの写真を載せています。ほかにも番茶に梅干しと醤油を混ぜることで、梅醤番茶を作ることができます。

また、自宅の冷蔵庫でお茶っ葉からお茶を作っている人もいると思います。私も冷蔵庫で麦茶を作っています。

冷えたままの麦茶に梅干しを入れてみましたが、美味しく飲むことができました。すっぱさもあまり感じないので、私のように梅干しが苦手な人にはよいと思います。お湯を沸かす必要もないので、手軽に準備することができます。

そして、最初から梅が含まれる梅昆布茶も、手軽に作れるものが売られています

こちらの商品はお湯を入れるだけで簡単に作ることができます。

このように、梅干しとお茶を混ぜることで、私のように梅干しが苦手な人でも食べやすくなります。

そのほかの方法

ほかにも味噌汁やスープに梅干しを入れることもできます。こちらも梅干しのすっぱさはかなり軽減されます。元々の味噌汁やスープの味はほとんど変わらないので、抵抗なく食べることができると思います。

トッピングの方法もいろいろあり、生姜を入れたり、鰹節を入れたりすることで、さらなる栄養分の補給ができます。

また、何も準備をすることができないときは、お湯や水に梅干しを入れて飲むだけ(梅湯)でも大丈夫です。この方法であれば、特別に準備するものはないですし、最も簡単に作ることができるものだと思います。

手軽に購入できるものとしては、お菓子の干し梅もあります。商品によっては種が入っていないものもあるので、食べやすいです。

干し梅の成分表を下に載せていますが、梅干しと同じように、1個あたりの成分量は多くありません。

したがって、栄養分の補給はできますが、補助的な位置づけとして考えるのがよいでしょう。

まとめ

ここでは、「梅干しは二日酔いの予防や改善に効果的か」「梅干しを食べるときの注意点」「梅干しを手軽に食べるための方法」について説明しました。

梅干しに含まれるクエン酸は、疲労回復に効果があると言われています。そして、梅干しには塩分が多く含まれており、梅干しを食べることで飲酒によって失われた塩分を補給することができます。また、その量は少ないですが、アルコールの分解で消費されるビタミンB1、ビタミンCも含まれています。

しかし、梅干し1個に含まれる塩分以外の成分量はそこまで多くありません。実際にお酒を飲んだあとや二日酔いの日の朝に食べましたが、二日酔いを予防したり、改善したりする効果を感じることはできませんでした。

梅干しはご飯やお茶などに混ぜることで、簡単に食べることができます。そうすることで、梅干しが苦手な人でも食べやすくなります。組み合わせはいくらでもあるので、作りやすい方法で梅干しを食べるのがよいでしょう。

このように、梅干しを食べることで、失われた成分を補うことができます。しかし、二日酔いを改善する効果については補助的なものと考える必要があるでしょう。