都会で働いている人は、通勤のときに電車やバスを利用する人が多いです。そのような人は、二日酔いで気持ち悪いときに、乗り物に乗るのが辛かった経験はないでしょうか。

私も二日酔いで電車やバスに乗ったことがあります。あとで私の経験談を記載しますが、普段とは比べ物にならないくらいのしんどさを感じました。

二日酔いになって、自宅で療養をするのであれば、水分や栄養分をとって、横になっていればいいです。しかし、乗り物に乗るときは、横になるわけにはいきません。また、周囲の環境も自宅とは全然違います。

ここでは、「二日酔いで乗り物に乗る場合に、注意すべきこと」「少しでも吐き気を感じにくくする方法」「乗り物酔いに対する薬が二日酔いに対して効果があるか」について説明していきます。

二日酔いで乗り物に乗ると、体調が悪くなることがある

二日酔いの経験があるサラリーマンやOLであれば、ほとんどの人は二日酔いのときに乗り物に乗ったことがあると思います。おそらくそのときは、非常にしんどい思いをしたのではないかと思います。

私も二日酔いのときに電車に乗ったことがありますが、あまりいい思い出はありません。

私は学生時代に下宿をしていました。ある激しい二日酔いの日に、どうしても電車で実家に帰らないといけないことがありました。正直このときは、動くことができるような状態ではなかったです。

そのような状態で電車に乗ったところ、電車に乗った直後から、電車酔いで徐々に気持ち悪くなりました。吐きそうでしたが、電車を止めるわけにはいきません。

そこで、電車が駅に止まったときに、急いでホームの近くの草むらに行って嘔吐をしました。これを何度が繰り返して、何とか帰省できました。

私が乗った電車が田舎の電車だったので、この方法でピンチを回避できましたが、都会では同じ方法は使いにくいでしょう。

二日酔いに乗り物酔いや臭いが加わることで、気持ち悪さが悪化する

では、なぜ二日酔いのときに乗り物に乗ると気持ち悪さが悪化するのでしょうか。これには主に以下の2点が影響しています。

  • 乗り物酔い
  • 臭い

続いて、これらの詳細について解説します。

・乗り物酔い

乗り物が移動しているときには、床や座席から体に振動が伝わってきます。電車やバスであれば、ちょっとした揺れだけでなく、ハンドルを切ったり、カーブに差し掛かったりしたときに、大きい揺れを感じることもあります。

これらの振動は体の平衡感覚を調整している場所(この場所を三半規管と呼びます)に伝わります。乗り物による不規則な振動を受け続けると、三半規管が混乱してしまいます。

この混乱の情報が脳に伝わることで、気持ち悪さを感じるようになります。これが乗り物酔いの起きる原因です。

二日酔いのときは、乗り物に乗る前から吐き気を感じていることが多いです。そのような状態のときに体が揺れを受けると、吐き気が強くなりやすいです。

・臭い

特に、電車に入ったときに感じる「モワッ」とした空気で、二日酔いでなくても気持ち悪くなることがあります。

乗り物(公共交通機関)の中にはいろいろな臭いが混ざっています。具体的には、汗の臭い、香水の臭い、食べた物の臭いなどです。

周囲からの臭いを防ぐことはなかなかできません。対策ができるとすれば、マスクをしたり、臭いが少ない場所に移動したりすることぐらいでしょう。

これらが原因で、乗り物に乗ったときに気持ち悪さが悪化することがあります。

その一方で、二日酔いによる吐き気の原因は異なります。それは、「アルコールが分解してできるアセトアルデヒド」「アルコールによって胃がダメージを受けたことによる胃潰瘍」などです。

二日酔いで吐き気を感じているときに、乗り物酔いや乗り物内の臭いによって、吐き気が強くなってしまう可能性があります。

二日酔いのときに車を運転すると、酒気帯び運転になる可能性がある

ここまでは、二日酔いのときに乗り物に乗ると、気持ち悪さが悪化しやすいことを説明してきました。

ここまでの内容は、全て乗り物に乗るときの話でしたが、車の場合は自分で運転をすることもあります。車で出勤している人も多いと思います。

しかし、二日酔いのときは車の運転はしない方がよいです。なぜなら、酒気帯び運転になってしまう可能性があるからです

お酒を飲んだ直後に運転をするのは論外です。当然酒気帯び運転になります。しかし、お酒を飲んだ翌日でも酒気帯び運転になることがあります。

下の表は、私が持っているアルコール濃度を測定できる機械で、お酒を飲み始めた直後から翌日の朝までのアルコール濃度を測定した結果です。

なお、酒気帯び運転かどうかの判定は、呼気のアルコール濃度で行います。この機械は血中のアルコール濃度を算出するものだったので、その結果から呼気中のアルコール濃度を計算したものも載せています。

この日は缶ビールを全部で1200mL飲みました。飲み終わった時間は21時です。そして、21時半には寝ました。

夜中(2時30分)に一度目が覚めていますが、このときの呼気中のアルコール濃度は、酒気帯び運転の基準値(0.15以上)を超えていました。飲み終わってから5時間経っていましたが、もし運転をすれば、完全に酒気帯び運転です。

この日は早く飲み始めて、早く寝たので、朝5時に起きたときにはアルコールは体内から抜けていました。しかし、これが飲み始めるのが遅かったり、遅くまでお酒を飲んだりすると、翌日の朝でもお酒が残っている可能性が高いです。

なおこの日は、朝起きたときは二日酔いになっていました。体調は悪く、すぐに運転ができるような状態ではありませんでした。

このように、二日酔いのときはまだアルコールが体内に残っている可能性があるので、酒気帯び運転になるかもしれません。また、二日酔いのときは、集中力や判断力が低下しています。お酒が抜けていたとしても、二日酔いで体調が悪ければ運転は控えた方がよいでしょう。

飛行機に乗ると、気圧の変化で気分が悪くなることがある

飛行機に乗る場合は、これまで説明してきた乗り物とは大きな違いがあります。それは、飛行機に乗ると、周囲の気圧が低くなることです。

二日酔いの状態で飛行機に乗ることについて航空会社の人に聞くと、以下のような返答をいただきました。

二日酔いで飛行機に乗るのであれば、最も影響を受けるのは気圧の変化です。上空では機内は富士山の5合目くらいの環境になっています。気圧が下がると、息苦しさを訴えられることがあります。

二日酔いのときに飛行機に乗ると、気圧が下がることで、息苦しくなることがあります。その影響で吐き気が強くなる可能性があるので注意が必要です。

最終的に飛行機に乗ることができるかどうかは、医師に判断してもらうか、自己判断しかありません。

気圧が下がると、頭痛がしたり、吐き気がしたりすることがあります。これはいわゆる高山病と同じ状態です。

私は富士山に何回も登ったことがあります。幸運なことに、これまで一度も高山病になったことはありません。

しかし、一緒に登ったメンバーの中には、何度も高山病を経験している人もいました。その人は頂上付近で猛烈な吐き気に襲われて、最終的にはトイレで吐いていました。

なお、富士山の5合目も地上2,500mくらいの高さです。山頂ほどではないですが、空気は薄く、気圧は低いです。飛行機に乗ると、これと同じ環境に身を置くことになるので、気分が悪くなるのも納得できます。

しかし、飛行機に乗ることができるかを相談するために、わざわざ病院を受診するのは現実的ではありません。おそらく医師も「心配ならやめておきましょう」としか言えないと思います。

なお、体調不良でどうしても乗ることができない場合は、追加でお金を払わなくても、別の日の便に変更できるシステムがあります。その方法を使うためには、「医師の診断書」が必要になります。

まずは、出発時間前までに航空会社に連絡をして、予約していた便に乗ることができないことを伝えます。そして、改めて飛行機の便の予約を電話でして、実際に飛行機に乗るときに医師の診断書を提出すれば大丈夫です。下に、航空会社のホームページの内容を載せています。

私の知り合いにも、このシステムを利用したことがある人がいます。飛行機に乗る日に、体調が悪くて病院を受診すると、1泊入院することになってしまい、その日の飛行機に乗れなくなってしまいました。この人は、翌日に医師の診断書を提出することで、無事予定日の翌日の飛行機に乗ることができました。

しかし、多くの場合は、日程を変更することが難しいと思います。したがって、ほとんどの場合は自己判断で、体調が悪い状態のまま乗らざるを得ない状況になると思います。

気持ち悪さが悪化しないための工夫

二日酔いであっても乗り物に乗らなければならない状況はあります。大切な約束があったり、仕事があったりすると、どんなにしんどくても行かなければならないです。

乗り物に乗ると気持ち悪さが悪化する要因がいくつもあることを説明してきました。基本的にはどの要因も自分の力で完全に除去することはできないものばかりです。

そこで、少しでも気持ち悪さを感じにくくするような乗り物の乗り方を紹介します。

乗る場所を工夫する

乗る場所を少し工夫することで、体に受ける影響を軽減することはできます。具体的には以下の4点があります。

  • タイヤの近くを避ける
  • 進行方向に向かって座る(電車、新幹線の場合)
  • 前の方に座る(車、バスの場合)
  • 窓側に座る(車、バスの場合)

タイヤの上は振動が伝わりやすいです。例えば、バスのようにタイヤの場所がわかりやすい場合は、タイヤの上の席を避けた方がバス酔いになりにくいです。

また、進行方向の視界がよく見える方が酔いにくいと言われています。これは、先の動きの予想がしやすく、その後に起きる動きや振動に対して体が準備できるためです。

人の体は、予想外の動きや揺れを感じると吐き気を感じやすくなります。そのため、進行方向が見える席や、少しでも外の景色が見える前の席や窓側の席に座るのがよいです

体勢を工夫する

二日酔いのときの体勢は、極力下を見ない方がいいです。私の経験でも、下を見るよりも斜め上を見る方が、圧倒的に気持ち悪さは楽になります

私は薬剤師として働いています。そして、薬剤師の仕事の1つに「監査」というものがあります。これは、ほかの人が準備した薬が正しいかをチェックする仕事です。

患者さんによっては、10種類以上の薬を飲んでいる方もいます。そのような方は、一つの袋に錠剤を入れる一包化という作業をします。下に一包化した薬の写真を載せています。

監査では、この中に入っている薬の色、印字されている文字を1つずつ確認しなければなりません。これはかなり集中力が必要な仕事です。

私はかつて二日酔いのときに監査をしていて、徐々に気持ち悪くなるのを感じました。このときは薬を手元に持って監査をしていました。そこで、どの体勢が楽かをいろいろと試した結果、一番楽だったのは、頭の上に薬を持ち上げて監査をしたときでした。

なお、私の周りの人に聞いて見ると、同じような経験をしたことがある人は何人もいました。

なぜ上を見ると吐き気が落ち着くのかは、理由はわかりません。しかし、効果がある方法なので、試してみる価値はあると思います。

急に立ち上がると立ちくらみ(脳貧血)が起きることがある

ほとんどの人が立ちくらみを経験したことはあると思います。座っていて急に立ち上がると「クラッ」として、ひどい場合は、その場にしゃがむほどの症状が起きたり、冷や汗が出たりすることもあります。

この症状は、脳の血液量が一時的に減ってしまうことで、貧血状態になることが原因で起きます。

急に立ち上がると、血液は下半身に溜まります。その結果、上半身の血液が不足してしまい、脳内の血液が一時的に減ってしまうのです。

立ちくらみが起きると、頭がクラクラします。そして、その影響で吐き気が誘発されることもあります。

立ちくらみを防ぐ対策は、ゆっくり立ち上がるしかありません。特に、二日酔いのときは体がしんどい状態で、集中力も低下しています。ふらつきによる転倒も起きやすい状態ですので、立ち上がるときは注意する必要があります。

脱水や低血糖の改善方法にも注意が必要

二日酔いのときは体が脱水状態になっています。これはお酒を飲むと尿の量が増えるためです。

お酒に含まれるアルコールは、脳に働きかけて、尿の量を調節するホルモンの量を減らします。このホルモンが減ってしまうと、尿の量が増えてしまいます。

また、お酒を飲んだ翌日は血糖値が低くなっています。これは、肝臓がアルコールの分解に専念してしまうために起きます。

アルコールは体の中に吸収されると、肝臓で分解されて、二日酔いの原因物質の1つのアセトアルデヒドになります。アセトアルデヒドは毒性が強く、体の中に溜まると吐き気や頭痛などの二日酔いの症状を起こします。

そして、このアセトアルデヒドも肝臓で分解されて、体にとって無害な酢酸になります。

お酒を飲むと、肝臓はこれらの分解をひたすら繰り返します。しかし、肝臓にはアルコールやアセトアルデヒドの分解以外にも、人間が生きるために必要な仕事がたくさんあります。その中の1つに「糖分の生成」があります。

肝臓はエネルギーの貯蔵庫として働いています。血糖値が下がってくると、肝臓に蓄えている糖分を放出して、血糖値を維持します。

お酒を飲んでいないときは、肝臓はちゃんと血糖値の維持をしてくれます。しかし、お酒を飲むと肝臓は、体にとって毒性があるアルコールやアセトアルデヒドの分解に専念するようになってしまいます。

その結果、糖分の放出がおろそかになってしまうので、血糖値が下がってしまうのです。

ここまで説明してきたように、二日酔いのときは脱水と低血糖になっています。したがって、これらを改善するために、水分を摂取したり、食事をとったりする必要があります。

しかし個人的には、乗り物に乗る前は水分摂取や、食事の摂取は控え目にすることをお勧めします。理由は、頑張ってたくさん摂取したことで、胃の中がいっぱいになり、乗り物に乗ったときに吐き気を感じやすくなるためです。

ずっと自宅にいるのであれば、ある程度の量の水分や食事を摂取しても問題は起きにくいです。しかし、乗り物に乗る必要がある場合は、控え目にしておいたほうがよいです。

そして職場に着いたあとや、その後しばらく乗り物に乗らなくてもよい状況になってから胃に物を入れることをお勧めします。

乗り物酔い止め薬は、二日酔いの吐き気に対しても効くか

ここまで説明してきたように、乗り物酔いによって、二日酔いが悪化することがあります。乗り物酔いと二日酔いの原因は違いますが、同じように吐き気を感じます。では、乗り物酔いの薬で二日酔いの吐き気を改善することはできるのでしょうか。

病院で処方してもらう酔い止め薬で代表的なものは、トラベルミン配合錠です。

この薬は以下の文書で示すように、乗り物酔いの吐き気に対して処方される薬です。なお、乗り物酔いは動揺病に含まれます。

二日酔いに対する効果について、この薬を販売している会社に質問をしてみると、以下のような回答でした。

二日酔いの人に対して試験をしていないので、効果はわかりません。

トラベルミン配合錠に含まれる成分は、脳の吐き気に関わる部分に働きかけて、吐き気を感じにくくさせる作用があります。したがって、理論的には二日酔いの吐き気に対しても効果があると思われます。

しかし、世の中の薬は全て使い方が決まっています。薬には、先ほどの文書のように病名や症状が指定されており、それらに対して用いるのが正しい使い方です。医師もそれらに対して使用してもらうために薬を処方します。

決められた使い方以外の使用は控えるようにしましょう。

また、酔い止めはドラッグストアでも売られています。私がドラッグストアで働いていたときには、大人も車酔い止め薬をよく買いに来ていました。実際に私の周りにも、車に乗るときには、車の酔い止めを毎回飲んでいる人もいます。

市販の酔い止め薬の中でも、よく認知されている薬の1つにトラベルミンがあります。

この薬も先ほどの薬と同様に、文書でどのような効果があるかについて書かれています。その文書の内容は以下の通りで、トラベルミンは乗り物酔いに対してのみ使用できる薬です。

また、この薬についても、二日酔いの吐き気に対して効果があるかを、販売元に問い合わせてみました。その返答内容は、以下のようなものでした。

乗り物酔いに対する薬なので、二日酔いには効果がありません。

このように、病院で処方される酔い止め薬も、市販の酔い止め薬も、基本的には二日酔いに対して使用することはできません。したがって、「お酒を飲む前に酔い止め薬を飲むと、吐き気を抑えることができるのでは」と考えても、その効果はないと思ってください。

しかし、酔い止め薬には乗り物酔いを防ぐ効果はあります。二日酔いの吐き気が、乗り物酔いによってさらに悪化することはある程度防ぐことができます。

まとめ

ここでは、「二日酔いで乗り物に乗る場合に、注意すべきこと」「少しでも吐き気を感じにくくする方法」「乗り物酔いに対する薬が二日酔いに対して効果があるか」について説明しました。

二日酔いで吐き気があると、乗り物に乗ったときの乗り物酔いによって、吐き気がさらに強くなることがあります。

また、乗り物酔い以外にも、臭いや、気圧の変化によっても気持ち悪さが悪化する可能性があります。

乗る場所、体勢、乗り物に乗る前の飲食の量を工夫することで、乗り物酔いを少しでも軽減したり、吐き気の悪化を防いだりすることができます。

そして、乗り物酔いの薬は、二日酔いの吐き気に対し効果を期待できません。あくまで、乗り物酔いの薬は乗り物酔いに対してだけ使用するようにしなければなりません。

二日酔いのときに乗り物に乗るのは、しんどい思いをすることが多いです。二日酔いになってしまうと、できることが限られてしまいます。二日酔いにならないようなお酒の飲み方をしたり、二日酔いになりにくくするような対策(サプリメントを摂取するなど)をしたりするようにしましょう。